音楽聴き始めの頃って、やっぱりボーカルだったり、ギターだったり、目立つパートについ耳が行ってしまいます。
しかし、ドラムに注目してみると音楽の楽しみ方の幅が広がるんですよね。
ですのでまだドラムに注目して音楽を聴いてない、っていう方には是非そうしていただきたいとおもってます。
今回はそんなきっかけになるようなドラムがカッコいい曲の特集です。
まずは洋楽編です(邦楽編はこちらから)。
一言に「カッコいい」って言っても色々な恰好良さがあります。
なるべくいろんなパターンのドラマーを集めてみました。それではどうぞ!
1. No.1ロックドラマーの名を欲しいままにする伝説のドラマーの一曲
- Led Zeppelin “When the Levee Breaks”
- ドラマー:ジョン・ボーナム(John Bonham)
「カッコいいドラム」の特集で彼が登場しないことって考えられないですよね。
ご存じロック界を代表するドラマー、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムです。
彼のダイナミックなドラミングは多くのロックドラマーに影響を与えて来ただけでなく、ヒップホップの世界でもサンプリングネタとして重宝されたりしています。
代表的な曲が沢山ありすぎて正直かなり迷いましたが、今回は「レヴィー・ブレイク」“When the Levee Breaks”を選びました。
聴いてくださいこの冒頭のダイナミックなドラムの音を…。
実はこのドラムはHeadley Grangeと呼ばれる田舎の洋館の吹き抜けで録音されたんです。
このなドラムサウンドは洋館の自然なエコーとジョン・ボーナムのダイナミックなドラムプレイの融合によってもたらされたものだったんですね。
この冒頭のドラム音、Hip Hopグループのビースティー・ボーイズ (Beastie Boys) もサンプリングしました。
もちろん他のメンバーの演奏もヤバい、全然古びない凶悪な一曲だとおもいます。
このドラムが気に入ったかたは
の三曲を聴いてみてください(リンクはYouTubeです)。
2. ドラムフレーズが主役の一曲
- ザ・パワー・ステーション「サム・ライク・イット・ホット」The Power Station “Some Like It Hot”
- ドラマー:トニー・トンプソン (Tony Thompson)
同名のスタジオからその名をとり、デュラン・デュランの2人とロバート・パーマーが在籍していたスーパーバンド、ザ・パワー・ステーション。
しかしこの曲の主役はなんといってもシック (Chic) に在籍していたトニー・トンプソンのドラムです。
まずは聴いてください。
どうでしょう、いきなり派手なドラムのフレーズから始まって、サビの部分でもドラムのリズムが大いに目だってます。
歌詞の内容はホントしょうもないプレーボーイの歌なんですけどね。
さて前述した通り、トニー・トンプソンはディスコ、ファンク、R&Bを代表するシックというバンドの活動がメインでした。
パワー・ステーションとはまた違った意味での踊れるドラミングが楽しめ、おすすめです。
3. 凄腕ばかりのスリーピースバンドの一曲
- クリーム「ホワイト・ルーム」Cream “White Room”
- ドラマー:ジンジャー・ベイカー (Ginger Baker)
おいしいフレーズが沢山ありますね。
あとこの時代のドラムってどでかい箱をドカドカならしているようなどくどくのバタバタした音がいいですよね。
クリームはエリック・クラプトンが在籍していた60年代を代表するロックバンド。
ベースはジャック・ブルース。
当時それぞれのメンバーが別のバンドでそれぞれ実績を挙げていただけにスーパーバンドとして期待され、その名に恥じない名作を次々と発表してきました。
しかしながらもともと主張の強い三人の集まりでしたのでわずか3年で惜しくも解散してしまいます。
4. ロック黄金期を支えた偉大なセッションドラマーの代表作からの一曲。
- デレク・アンド・ザ・ドミノス「アイ・ルックド・アウェイ」Derek and the Dominos “I Looked Away”
- ドラマー:ジム・ゴードン (Jim Gordon)
クリームを解散してブラインド・フェイスというバンドを経たあとクラプトンが結成したのがデレク・アンド・ザ・ドミノス。
そのドラマーがジム・ゴードンでした。
ジム・ゴードンは筆者が最も好きなドラマーの一人。
ドミノスだったら一番有名なのは、誰もが一度は聴いたことあるんじゃないかっていうぐらいポピュラーな「いとしのレイラ」でしょう。
しかし今回ジムのドラミングを堪能できる一曲としてオススメなのは「アイ・ルックド・アウェイ」。
もう一曲紹介しておきましょう、ジミヘンのカバー曲で、「リトル・ウィング」 (Little Wing)。
この曲は後半のギターソロの呼応するかのごとくのドラミングが実に素晴らしいです。
5. プログレを代表するバンドの音楽性豊かなメロディアスなドラム
- エマーソン・レイク・アンド・パーマー「ラッキー・マン」 (Emerson, Lake & Palmer)
- ドラマー:カール・パーマー(Carl Palmer)
この曲のドラミング凄い好きなんですよね。
メロディアスで芳醇で。
これは本気でコピーしたら凄く楽しそうだと思いました。
ドラムアレンジの勉強にもなると思います。
エマーソン・レイク・アンド・パーマー、略してELPは、キース・エマーソン、グレッグ・レイク、カール・パーマーの3人が1970年に結成したイギリスのプログレッシブ・ロックバンド。
各人がプレイヤーとして相当な手練れだったこともあり、技巧的なプレイで知られます。
しかし、この曲でわかるように、ただ演奏が巧だったわけではなく音楽的にとても豊かなバンドでした。
6. 筆者一押しのセッションミュージシャンドラマー
- ボブ・ディラン「メンフィス・ブルース・アゲイン」Bob Dylan “stuck inside of mobile with the Memphis blues again”
- ドラマー:ケニ-・バトレー (Kenny Buttrey)
ケニー・バトレーは今回ご紹介するなかでは結構マイナーなドラマーだと思うのですが、私の一押しドラマーでもあります。
今回紹介するのはボブ・ディランの代表作で名盤の誉れ高い『ブロンド・オン・ブロンド』からの一曲。
この曲は七分ぐらいあって、普通飽きてしまいそうですがディランの歌の魔力と歌詞、そしてミュージシャンたちの一見素朴なようでいて実は芳醇なアレンジに魅力され飽きがこないんですよね。
中でもケニーのドラミングが素晴らしく、ケニーのドラミングにハマると永遠に聴いていられる一曲です。
繰り返しのなかでケニーのドラミングがどのように曲を引っ張り、変化していくのか注目してみてください。
ケニ-・バトレー は元々はナッシュビルの有名なセッションミュージシャン。
他にもニール・ヤング (Neil Young)のアルバム『ハーヴェスト』のドラミングでも有名ですね。
7. ドイツの伝説的バンドの呪術的ドラミング
- カン「バイタミンC」CAN “Vitamin C”
- ドラマー:ヤキ・リーベツアィット (Jaki Liebezeit)
現代の音楽シーンに絶大な影響を与えているバンドといっても過言ではないドイツのバンドがカンです。
彼らは主に70年代に活動してきましたが、オルタナティヴ・ロック、エレクトロニック・ミュージック、ポスト・ロックなど、90年代以降のシーンにも影響を与えています。
そんなカンのドラマーは今なお信奉者の絶えないヤキ・リーベツァイト。
中毒性の高い呪術的ドラミングが特徴的です。
その絶好のサンプルが「バイタミンC」。
本曲は今も理想的なダンスミュージックたり得ているとおもいます。
その証拠といってはなんですが、実はこの曲、日本のヒップホップグループ、ライムスターも「紳士同盟」という曲でサンプリングしているんですね。
ボーカルは日本人のダモ鈴木です。
ドイツのバンドですが日本人による英語の歌という変わった曲ですね。
ヤキのこのドラミングが気に入ったかたは”Halleluhwah”も必聴です。
8. 美味しいドラミングをサンプリングして作り上げた超名曲
- ビースティー・ボーイズ「シェイク・ユア・ランプ」
- Beastie Boys “Shake Your Rump”
これはいわば番外編ですね。
特定のドラマーの一曲ではありません。
しかし、美味しいドラムのフレーズをサンプリングしまくった正にドラム愛にあふれた曲。
まさにドラマーの為の曲ではないでしょうか。
Hip hopこそ誰よりも深い音楽愛と探求が必要である事を証明する一曲でもありますね。
魚眼レンズのカッコいいPVもめちゃCoolで、筆者もドハマりしてなんども繰り返し見ました。
うん、100回は見た。
さてサンプリングで築かれた美味しいグルーヴの名盤といえば、DJシャドウの『Endtroducing.....』。
サンプリングで作り上げた音の芸術作品といっても過言ではないぐらいの素晴らしい名盤ですね。
9. 最もサンプリングされたファンクの大御所のドラムビート
- ジェームス・ブラウン「ファンキー・ドラマー」James Brown "Funky Drummer"
- ドラマー:クライド・スタブルフィールド (Clyde Stubblefield)
クライド・スタブルフィールドによるこのドラムフレーズはヒップホップで最もサンプリングされたドラムビートとしても有名です。
ドラムビートだけでご飯何杯でもいける必殺のファンクチューン。
ジェームス・ブラウンはいわずと知れたファンクの帝王たるミュージシャン。
前述したようにヒップホップ界でも参照されることが多く、今日でもなお存在感を増しています。
それでは、もう一曲。
- 「エイント・イット・ファンキー・ナウ」 Ain't It Funky Now (live)
- ドラマー:ジャボ・スタークス (John ‘Jabo’ Starks)
クライド・スタブルフィールドを紹介しておいてジャボ・スタークスを紹介しないのは無しでしょう。
クライドと共にジェームス・ブラウンのサウンドを支え続けたもう一人のドラマーがジャボ・スタークスです。
ドラムに限らず全部のパートが文句なしにカッコいいライブ盤『ライヴ・イン・パリ, 71』(Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971) から。
最初から最後までテンションマックスで駆け抜ける演奏を爆音で踊りながら「体感」してほしい一枚です。
10. もっとも破天荒なドラマー
- ザ・フー「ババ・オライリィ」The Who “Baba O'Riley”
- ドラマー:キース・ムーン (Keith Moon)
お待たせしました。キース・ムーンをあげずにこのようは企画はなりたたないでしょう。
ジョン・ボーナムとならんで、ロックドラマーといえばキース・ムーンを挙げないワケにはいきません。
問題はどの曲にするか…困るのはザ・フーは全員パートがカッコいいから意外とドラムだけ特出して目立つのがあまりないのと、彼の凄さを一曲で伝えきるのは無理ということです。
そこで今回は彼らの代表曲である「ババ・オライリィ」を紹介したいと思います。
そしてもう一曲、このライブ演奏をみてください。
ザ・フーがいかに他を圧倒するようなパフォーマンスをしていたかわかっていただけるかと思います。
ドラムでいえば7:38からキース・ムーンのドラムのソロが入ります。
でもこれだけじゃないんですよね。
全然魅力を伝え切れてないんです。
なので、これらの楽曲に興味をもたれた方は是非、ザ・フーの他の曲やアルバムにも耳を通してみてもらいたいと思います。
まとめ
様々なアーティストを紹介してきましたが、これを機にドラムの魅力に目覚めていただければ幸いです。
そしてもともとドラムに興味があったという方、ドラマーという方も、こんな曲があったのかとおもっていただければ。