今まで「備忘録」として連載をつづけてる当コーナーですが、今回から今月のオススメ旧譜&新譜としたいと思います。
備忘録だとあまりに内向き過ぎるタイトルだし、新譜という言葉を入れることで曲がりなりにも最新の音楽を聴こうという姿勢になると思ったからです。
という事で早速始めます。
『Vida Que Segue』Não ao Futebol Moderno
質問箱で教えてもらったブラジルのドリームポップバンドによる2016年作。
これはめちゃくちゃ良かった。
シューゲイズ的な文法も織り交ぜつつベッドルームポップっぽい気だるさやバンドのダイナミズムもちゃんと持っている稀有なバンド。
なおかつ曲のバリエーションもその範囲の中でちゃんとあってアルバム単位で聴いてもだれなくて最高です。
Real Estateや最近のAriel Pinkに通じるものもあり、それらが好きな人にオススメ。
アルバムジャケの雰囲気のある女性のポートレートもよい。これはCD欲しいっすね。
「Hellbent」Perfume Genius
6月17日にリリースされたPerfume Geniusの最新作『Ugly Season』。
Pitchforkで8.6点を獲得したり、Twitterでも絶賛されていた話題作。
Chamber pop/baroque pop/industrialという従来の彼の音楽スタイルが更にサウンド面で先鋭化された気がします。
それに加えて様々なジャンルの要素が入っているアルバム。
それらの他ジャンル要素が一曲の中にシームレスに一度に取り入れられているのかと思いきや曲ごとに、これはクラシック、これはレゲエとか分かれてるのが意外でしたね。
勿論これはこのジャンルだなとパッと聴いてわかるというよりは、これって実は○○的だよね、とかそういう取り込みかたなんですけれど。
今回紹介したいのはそのアルバムの中の「Hellbent」という曲。
インダストリアル色が一番濃い一曲で、フィードバックノイズと荒ぶるシンセが基調になったダークな曲。ロック的なダイナミズムというかカタルシスを感じました。
Suicideっぽいとも言えますけど、Suicideよりも盛り上がりかたにロックやJazzっぽい洗練があります。
Spotifyのブラウザ版だと各曲の再生回数が表示されるんですけど、この曲は下から2番目と圧倒的に人気がない(笑)。
まあアルバムの最後の方に入っている曲なんで単純にそこまで聴かない人が多いんだとは思いますが、聴き逃すには勿体ない一曲。
「2008 Toyota Corolla」2003 Toyota Corolla
2003 Toyota Corollaというアーティストの『2003 Toyota Corolla』というアルバムに入っている「2008 Toyota Corolla」という曲(笑)。
先月紹介したClown Coreの曲に近いテイストですね。
ジャケットも似てる。
アルバム前半は割と凡庸なアンビエント作品なんですけど、この曲は地方スーパーのBGM感があって凄く好きです。
「John John (Let’s Hope For Peace) 」The Plastic Ono Band
『Live Peace In Toronto 1969』というアルバム名の通り、トロントで行われた「ロックンロール・リバイバル」というイベントのライブ録音盤に収録の一曲で、ギターのフィードバックノイズをバックにオノ・ヨーコが絶叫し続けるというものすごい曲。
これはアヴァン・ポップ、ノイズミュージックの名曲だと思います。
オノ・ヨーコの絶叫パフォーマンスが圧巻なんですけど、これを見ていた観客は正直「何をみせられてるんだ」って気分になったと思います(笑)。
まあでも後半に歓声が起きてたんで受けはよかったんでしょうね。
しかし、バックがジョン・レノン(ギター)、エリック・クラプトン(ギター)、クラウス・フォアマン(ベース)、アラン・ホワイト(ドラム)っていう凄い面子のバンドで、この内容ですからね(笑)。
後半のドローンミュージックに近いずっと続くフィードバックノイズも気持ちいいです。