世の中本当にたくさんのミュージシャン、たくさんのバンドがいます。
そのバンドやアーティストの数だけ、アーティスト名、バンド名があることになりますが、みんな一体どうやって名前をつけているのでしょうか。
今回は地名、国名をそのままバンド名、アーティスト名につけてしまった、音楽家達の特集です。
いったいどんな地名がでてくるんでしょうかね。
どんどんスケールが大きくなって最後とんでもないことになっていきますので、楽しみにしていてください。
それでは早速みていきましょう。
通り、町の名前のバンド
ポーティスヘッド Portishead
ポーティスヘッドは1991年に結成されたイギリスのバンド。
彼らはトリップ・ホップというヒップホップと電子音楽をベースに、ダブやファンク、ソウルなど様々な音楽の要素を掛け合わせた音楽ジャンルの開祖とされている超重要バンドですね。
彼らは自分たちの音楽がトリップ・ホップって言われるのをものすごく嫌がってるみたいですけど…。
バンド名はメンバーのジェフ・バーロウが育ったイングランド南西部のサマセット州にある人口2万5千人程度の町、ポーティスヘッドからとられました。
写真を見るかぎり彼らのミステリアスでダークな雰囲気をたたえている音楽性とは裏腹に、牧歌的でよさそうなところですけどね。
彼らの代表作は1994年に発表された『ダミー』。そのダークな作風に関わらずヒットし、批評家からは絶賛されました。
サイプレス・ヒル Cypress Hill
サイプレス・ヒルは主に1990年代に活躍したヒップホップグループで、ラテン系アメリカ人のヒップホップアーテストで初の大ヒットを記録したグループでもあります。
そんな彼らのグループ名は中心メンバーが育ったカリフォルニア州サウスゲイトの通りの名前からつけられました。
サイプレスは糸杉のことで、日本語に訳すと「糸杉ヶ丘」みたいな感じでしょうか。
都市の名前のバンド
次は都市の名前を付けたバンドを紹介していきます。
シカゴ Chicago
シカゴはアメリカイリノイ州最大の都市で、アメリカ国内でもニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ規模の人口のまさに国際都市です。
そんな都市の名前を付けたバンド、シカゴはまさにシカゴで結成され、当初は”シカゴ・トランジット・オーソリティ(シカゴ交通局)“と名乗って1969年にデビューしました。
しかしシカゴ交通局からクレームが入っちゃったんでシンプルに「シカゴ」という名前になっちゃったんですね。
シカゴはブラスロックとも呼ばれる音楽性でロックバンドの編成にブラス・セクションを取り入れたサウンドで有名です。
代表曲は「25 Or 6 To 4(邦題: 長い夜)」と「Hard to Say I’m Sorry(素直になれなくて)」など。
ボストン Boston
ボストンは70年代後半に彗星のごとく登場したバンド。
実際はギタリストのトム・シュルツによるワンマンバンドで、レコーディングはほとんど彼一人で行われています。
今までのロックとは一線を画した、分厚くてゴージャスなサウンドなんだけどどこか爽やかなサウンドプロダクションが当時は衝撃的だったみたいです。
ボストンというバンド名はファーストアルバムのプロデューサーとエンジニアによる提案で名付けられました。
ボストンはマサチューセッツ州北東部サフォーク郡にある世界的に有名な都市です。
トム・シュルツはそのマサチューセッツ州にある、マサチューセッツ工科大学出身なんですね。
ということで、その工学系の知識を生かした自前の機材や、オリジナルのアンプや機材のブランドの立ち上げなどもトム・シュルツは行っています。
ベルリン Berlin
ベルリンはドイツの首都でだれもが知っている国際都市ですが、このベルリンという名前のバンドはアメリカ、カリフォルニア州出身です。
エキゾチックでヨーロッパ的なイメージを出すために、ベルリンとつけれらた様です。
彼らが活躍していた80年代当時は米ソ冷戦時代で、ドイツは東西に分断されていました。
ベルリンは東側の都市ですが、同時に西側にも統治されていて都市自体も分断されていました。
というような事情もあるため、当時と今ではベルリンという都市に対するイメージ、その名前が与える印象もちがっていたかと思うと興味深いですね。
彼らは、映画『トップガン』で使われた「愛は吐息のように (Take My Breath Away)」という曲を大ヒットさせたことで有名です。
聴いたことがあるという方もおおいんじゃないでしょうか。
カンザス Kansas
カンザスはアメリカ、カンザス州出身のプログレッシブ・ロックバンド。
これもまたシカゴやボストンと同じく、活動基盤の都市名をそのままバンド名にしたパターンですね。
カンザスはジャンルでいうとプログレッシブ・ロックに分類されます。
プログレッシブ・ロックといえばほとんどイギリス、またはヨーロッパのバンドが多く、彼らは数少ないアメリカのプログレバンドということで紹介されることが多いですね。
国の名前
次はもっと範囲の広い、国の名前をそのままバンド名にしたアーティスト達を紹介します。
ジャパン Japan
大胆にも我々の住んでいる日本を名前にしたバンドがありました。
70年代後半から80年代前半まで活躍したイギリスのバンド、ジャパンです。
日本語を取り入れた曲などもありましたけど、ラストアルバムの『錻力の太鼓』は中国がテーマはモチーフに使われていたりしましたし、日本のイメージにこだわっていたわけでもないバンドです。
ルックスが美形ぞろいということもあって日本でもアイドル的な人気がありました。
また、坂本龍一とのコラボレーションや、ツアーに一風堂の土屋昌巳が参加するなど、日本のミュージシャンとの交流もあったりして、単に名前だけでなく実際に日本との関係性が深いバンドだったりします。
実はJapanese HouseやJapanse Breakfastとか、Made In Japanとか、「ジャパン」という名前を使ったバンドは結構あったりします。
地理的な要因からか独特の文化があるので、エキゾチックで他とは違う雰囲気とか印象がJapanという言葉にあるんでしょうね。
アメリカ America
アメリカというかなり大胆な名前を持つフォークロックバンドもいます。
アメリカは1970年になんと、イギリスのロンドンで結成されました。
実はメンバーはイギリスに駐屯しているアメリカ空軍の息子たちでして、自分たちがアメリカの音楽を真似しようとしているイギリス人と誤解されないようにこの名前にしたという面白い経緯があります。
音楽性は基本的にギターと歌のハーモニーがメインのフォークロックで、「名前のない馬」(A Horse with No Name)という曲のヒットで有名です。
また、The United States of Amricaというアメリカの実験的なバンドも60年代の後半に活躍していました。
U.K
U.Kはその名の通り、イギリスのプログレッシブ・バンドです。
元キング・クリムゾンのジョン・ウェットン(ベース、ボーカル)とビル・ブラフォード(ドラム)が、元ロキシー・ミュージックのエディ・ジョブソン(キーボード、ヴァイオリン)とジャズギタリストのアラン・ホールズワースを誘って結成したスーパーバンドですね。
バンド名を冠したファーストアルバムがかなりの高評価だったにも関わらずメンバーは固定せず、結成からわずか3年で解散してしまします。
もっと広い地域
最後は国以上の広い地域を指す名前を持つ、バンド、アーティストを取り上げていきます。
エイジア Asia
ヨーロッパを除くユーラシア大陸全般を指す、アジアの名を冠したバンドが、先ほど紹介したU.Kのジョン・ウエットンがU.K解散後に結成したエイジアです。
このバンドも凄いメンバーを取りそろえた、スーパーバンドで、ウェットンの他に、スティーヴ・ハウ(ギター、ボーカル/元イエス)、カール・パーマー(ドラム/元エマーソン・レイク・アンド・パーマー)、ジェフ・ダウンズ(キーボード/元バグルス、イエス)という豪華なラインナップでした。
通常長尺な楽曲で知られるプログレッシブ・ロックですが、彼らはそれらの要素をぎゅっと凝縮して3分間のポップソングに仕立て、彼らのファーストアルバムは大ヒットして全世界で1500万枚を売り上げました。
ヨーロッパ Europe
ヨーロッパはスウェーデンのハードロックバンド。
1986年に発表した『ファイナル・カウントダウン』というアルバムが、全世界で1000万枚を超えるヒットを記録しました。
余りにもそのアルバムと同名曲がヒットしたため、アメリカとかだと一発屋イメージが結構つよいかと思いますね。
昔アメリカに行ったとき偶然TVで電子レンジの宣伝が流れてて、彼らが「ファイナル・カウントダウン」を歌ってました。そういうギャグが今でもピンと来るぐらいにはヒットした曲なんですね。
globe
小室哲哉がシンガーのKEIKOとマーク・パンサーと結成したグループで90年代に日本で爆発的なヒットを飛ばしたのがglobeです。
実はglobeというのは地球とか球体を意味するんです。
「FREEDOM」や「FACES PLACES」など、地球上の各地を想定としたような壮大なテーマの曲もあったりして、割とグループ名の壮大さに恥じないようなテーマも歌っていたり詩て面白いです。
M83
フランスのミュージシャン、アンソニー・ゴンザレスによるソロプロジェクトがM83です。
シンセ・ポップ、シューゲイザーを中心としたドリーミーなサウンドが特徴的で、米Pitchforkをはじめ、フランス国外でも非常に評価の高いアーティストです。
Daft Punkやフェニックス同様、フランスのアーティストなんですけど、英語で歌っています。
英語で歌うことはある程度欧米で国を超えて評価されるには必須の項目なのかもしれないですね。
最近はそうでもなくなりつつある気もしますが。
そんなM83ですが、これはなんと実在する銀河の名前です(笑)。
かなりスケールがでかいです(笑)。
ウルトラマンの故郷がこのM83星雲という設定なので、それで聞いたことがあるという人が多いかもしれないですね。
まとめ
どうだったでしょうか。意外と多いですよね。
このほかにも結構地名バンドはありまして、地名だけでなく、ほかの単語と組み合わせた名前を含めると結構な数になります。
しかし、インターネットで何でも検索する時代でこのようなシンプルな名前は検索されにくいだけなんで、基本的にこの企画に出てくるバンドって古いバンドばっかりなんですよね。
今後このようなシンプルな名前の音楽グループが出てこないかと思うと、ちょっと寂しいきもします。