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音楽好きが選ぶアニソン名曲ランキングベスト30【後編】

前編(30位から16位)はこちらから

15位『らき☆すた』2007年「もってけセーラー服」

これはかなりセンセーショナルな曲でしたよね。高速で繰り出されるなんか気持ちいいけど意味のない言葉を羅列した歌詞、無駄にテクニカルなベース、女子の合唱の勢いとパーティー感、そして無駄に高いテンション。カロリーの無駄遣い加減がたまらない名曲だとおもいます。短い尺の中でこれでもかと楽しい要素を盛り込んだ名曲。

これ以降めちゃくちゃに言葉を詰め込んだアニソンが増えた気がします。京アニの次作である『けいおん!』の主題歌も間違えなく本作の主題歌の成功を踏まえてのものだと思いますね。

14位『化物語』2009年「君の知らない物語」supercell

『化物語』のアニメはヒロイン毎に違うオープニング曲が用意されていたり、それらの曲も評価の高いものばかりで、こういうアニソンランキングでも複数ランクインしてもおかしくない曲ぞろいなのですが、僕が1番好きなのはこのエンディング曲。

バンプオブチキンの「天体観測」の恋愛版といえる、ある女の子の淡い片思いをつづった名曲です。

この曲実はアニメ用に変則的な編集がされてるんですね。Aメロは2番を、サビは1番のものに編集されているんです。その編集によって実にアニメ本編に上手くシンクロさせることに成功しているんですね。

その結果アニメのエンディングでは主人公の秘めた恋心の行方は明らかにされてはいないのですが、ところがフルバージョンを音源で聴いてみるとどうやらその恋は実らなかった事がわかります。

ということでアニメで聴くのと、フルで聴くのとで印象が変わって2度楽しめる名曲といえますね。

13位『新世紀エヴァンゲリオン』1995年「Fly Me to the moon Rei Misato Asuka ver」

「Fly Me To The Moon」はフランク・シナトラの歌唱などで知られるスタンダードソング。この曲はテレビ版エヴァのエンディング曲で、基本的にはクレア・リトリーという歌手が毎回歌ってるんですけど、たまにインストだったり、歌い手が違ったりすんですよ。作中のヒロイン達が毎回かわりばんこで歌ってたりするんですね。というわけで色々バージョンがあるんですけど、これはレイ、ミサト、アスカ、物語のメインヒロインの3名が全員歌っているという設定の豪華バージョン。ということでアニメでそれぞれの役を担当している声優さんが歌って、間奏部分ではヒロインたちのモノローグが聞けます。

原曲の素晴らしさ、アレンジの良さというのも魅力ではあるんですけど、歌の面では必ずしもプロとは言えない方々の歌唱ではありますが、演技力は当然抜群なので、感情を込めた歌い方をされるとグッときちゃうんですよね。

声優さんにアニメのOP、EDを歌ってもらうという例の成功例というか、その最たるものだと思います。

庵野監督は次作の『彼氏彼女の事情』でも同じことをやってて、そっちでは井上陽水の「夢の中へ」を毎回アレンジや付随する映像を変えてエンディングで流してました。

12位『風の谷のナウシカ』1984年「風の谷のナウシカ」安田成美

作詞松本隆、作曲細野晴臣という元はっぴいえんどの二人によるプロダクションが冴える名曲。アニソンなんですけど劇場アニメ本編には全く使われていないという変わった経歴を持つ曲。シンボル・テーマソングとしてリリースされました。

作家陣が豪華ということでもう曲自体すごくいいんですけど、萩田光雄という著名なアレンジャーによる品のいいオーケストレーションとシンセサウンドによる編曲、そしてなんといっても当時ユーミンとも比較された透明感が抜群の安田成美さんの歌声が心地よい名曲の名演になっています。

11位『ドラゴンボール』1986年「ロマンティックあげるよ」橋本潮

無印ドラゴンボールアニメのエンディング曲。いかにも80sっぽい、シンセサウンドと打ち込みのリズムトラックが特徴的なポップソング。

冒険すること、探求することへ渇望をうたった曲でもあり、そういう姿勢で生きていこうとする人たちへの応援歌であり、また仄かにラブソング的なほのめかしもあるのかなと思っています。

曲のメッセージもそうですが、橋本潮さんのなんとも言えない切ない歌声やメロディーラインにも胸を打たれますね。

普段の生活の中で夢や挑戦ってなかなか忘れてしまいがちですけれども、たまにこの曲を聴くと「もっとワイルドにもっとたくましく生きてごらん」というメッセージにハッとさせられることがあります。

本編のヒロインであるブルマの様々な表情が見れるエンディングアニメーションもみものです。

10位『気まぐれオレンジロード』1987年「オレンジミステリー」長島秀幸

カルロス・トシキとオメガトライブがアニソンをやってみたような、夏や青春の一瞬のきらめきをパッケージングしたような80sテイスト溢れた優れたシンセポップソング。『気まぐれオレンジロード』のオープニングテーマです。

「気まぐれ」というアニメ自体のキーワードをちりばめ、作中人物にも重なるようなヒロイン像を歌いこむ歌詞は割とアニソンのお約束に忠実でもあります。そういったセオリーを守り、ヒロインが歌の主人公に見せる(または仕掛けてくる)ふとした表情や思わせぶりな仕草がビビットにこちらに伝わってくるアニソンとして優秀な作詞だと思いますね。

アニソンとしての役割を忠実に果たしながらも、独立したサマーチューンとしても十分聴ける名曲だと思います。

9位『ドラゴンクエスト』1989年「夢を信じて」徳永英明

実は徳永英明で1番ヒットした曲が実はこの曲なんですね。作詞は違いますが作曲は徳永さん本人がやられています。

ドラゴンクエストというゲーム、そしてそのゲームをオリジナルストーリーでアニメ化した本作、それらに共通する旅のイメージと見事に合致した歌詞と徳永英明さんの優しく、ドリーミーな歌声、シンセベースを基調とした軽快なビートで聴かせる楽曲がワクワクさせてくれる一曲。

いくつの街を 越えてゆくのだろう
明日へと続く この道は

いつまでも続く旅のイメージは我々の人生とも重なってきてグッときますね。

夢を信じて
生きてゆけばいいさと
君は叫んだだろう
明日へ走れ 破れた翼を
胸に 抱きしめて

応援歌としての側面を有しているという意味では「ロマンティックあげるよ」と重なる部分もあります。ただ、応援歌といってもあまり押しつけがましくない部分がいいですね。

8位『チンプイ』1989年「シンデレラなんかになりたくはない」林原めぐみ & 斉藤小百合

藤子・F・不二雄原作アニメのエンディングテーマ曲。アニソンには登場人物を担当する声優さんが、そのキャラクター自身の立場を代弁するような歌詞の曲をうたうオープニングやエンディングが少なくないですが(涼宮ハルヒ等)、これもその一つ。ヒロインの春日エリを演じる林原めぐみさんが歌われています。

『チンプイ』は主人公の小学生春日エリが地球から35光年離れたマール星の王子・ルルロフ殿下のお妃に突然選ばれることから始まるドタバタコメディ。しかし彼女はその申し出を拒否しながら、説得し続ける従者チンプイの不思議な力のおこぼれに授かるという(笑)。この曲もその内容に沿った歌詞なのですが、そのタイトル「シンデレラなんかになりたくない」が指し示すように、お飾りのヒロインじゃなくて、とても自立心が強い内容になっててすごく好きです。

シンデレラなんかになりたくない
自分で歩いていくわ
シンデレラなんかになりたくない
裸足で歩いていたいから

シンデレラは魔法の力で王子様とめぐりあったわけですが、基本的に受け身です。対して本作のヒロインは王子側から選ばれたもののそれを拒否して自分で道を切り開いていくタイプで、その対比が歌詞にも表れてて、シンデレラを比較対象として引っ張ってきたのは非常にうまい作詞といえると思います。まあ春日エリもチンプイの魔法の力を使うところは一緒なんですけどね(笑)。

7位『名探偵ホームズ』1984年「テムズ川のダンス」ダ・カーポ

全体を包み込む柔らかなシンセサウンド。品のいいホーンやオーケストラのアレンジ。日常の穏やかなちょっとした光景を描写した歌詞。うっとりするようなドリームポップ、オーケストラルポップの名曲だと思います。

YouTubeのコメントなんかでもこの曲を自分の葬式に流して欲しいというコメントがありましたけど共感できますね。この曲に出会えただけでもこのアニメ見て良かったなと思ってます。

24時間頭の中で何かがDanceしている人なんだから

ホームズというキャラクターは一日中推理の事ばかり考えている世間から見たらちょっとずれた人物なんですけど、そういう「ちょっと困った人」に対する肯定感や優しい眼差しが感じられる歌詞とメロディが感動的です。

ホームズはアニメ本編の中で絶え間ない推理と冒険を繰り返しているわけなんですけど、そういう姿をエンディングで優しく肯定している様な感じでするんですよね。そういう意味でもエンディングソングとして非常に優れていると思います。

絶え間なき冒険者が生活しているふっと落ち着いた日常の風景を描写した歌詞、包み込むメロディーは我々をソフトに日常に戻してくれる役割も果たしているかと思います。

アニソンエンディングかくあるべしといった名曲。

6位『御先祖様万々歳』1989年「ご先祖様万々歳 (TV edit)」児島由美

なぜわざわざTV edit と書いているかというと、サントラ版とTV版でアレンジや録音が違うんですよ。ボーカルを取り直したり、アレンジがちょっと違うんですけど、全然良さが違うんですよね。TV版がもっていたマジックみたいなものが消えてしまっている感じがします。これは是非比較して聴いてみてほしいですね。

TVで聴いたアニソンが、音源で聴くとおもったより良くない現象といういうのは前編にちらっと書きましたが、これはその最たる例ですね。

作曲は26位『攻殻機動隊』「謡I – Making of Cyborg」でもとりあげた川井憲次氏。作詞は歌を担当している児島由美さんが書いてるんですけど、家をいうキーワードで言葉遊びをしつつも、本編の内容をポップになぞった素晴らしい作詞だと思います。完璧なポップソングの一つだと思っていて、個人的にもこんな曲を作りたいと挑戦してみたことがあります。

5位『サザエさん(火曜日)』1975年「サザエさんのうた」堀江美都子

今現在生き残ってるのは日曜日のサザエさんですが昔は火曜日もやっていました。日曜日版のサザエさんの曲は、放送が今も続いていて、筒美京平作曲で、歌詞もユーモラスで面白かったりで、人気も評価も高いんですけど、この火曜日版の曲目勝るとも劣らずです。

今回改めて聴いてみたらやっぱりめちゃくちゃ格好良くてビビった一曲ですね。これも「ガッチャマンの歌」と同じで当時のファンキーなアレンジが今聴いてもクールです。グルーヴィーなリズム隊。豪華だけど品のいいストリングアレンジ。ハイクオリティな歌唱に、サビの異様な高揚感。5位にしましたけど低すぎたかなと後悔するぐらい。特にベースラインがめちゃくちゃ格好良いのでベーシストは是非チェックしてみてください。

ところでこの火曜日サザエさん、エンディングテーマも名曲で一般的にはこのオープニングより人気があるかもしれません。

4位『魔女の宅急便』1989年「やさしさに包まれたなら」荒井由実

荒井由実時代のユーミンは卑怯というか、誰も太刀打ちできない様な無敵感があります。これもアニソンと言って良いのかは正直微妙なところはあります。アニソンとして書き下ろされたわけでは無いので。そういう意味ではちょっと順位が高すぎたかもしれません…。しかしながら映画の内容に非常にマッチした選曲なんですよね。

ユーミンの作詞は風景描写に優れていて、イメージを喚起する力が強いですが、この曲も映画が描き出す海沿いの街の描写と驚くほど親和性が高いです。

「目に写る全てのことはメッセージ」という歌詞も、街で起こる様々な出来事、日常から学んできた主人公のキキに重なりますし、そしてこれからもそうであろうという余韻がこの曲によって与えられてる様な感覚があるんですよね。

3位『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』2011年「青い栞」Galileo Galillei

Galileo Galileiはこのアニメをきっかけにハマって、今は本当に大好きなバンドの一つ。もう解散していますが、メンバーはBBHFというバンドを新たに結成して頑張っています。

さてGalileo Galilei結構アニメとのタイアップが多いバンドなんです。この曲が入っている『PORTAL』って言う2ndアルバムだけでも「さよならフロンティア」が『荒川アンダー ザ ブリッジ』の、「明日へ」が『機動戦士ガンダムAGE』のアニメのテーマソングになってます。

フロントマンで作詞作曲のほとんどを手掛ける尾崎雄貴は非常にストーリーテリングに長けた楽曲を作りますので、そのような依頼が沢山来ても不思議ではないなと。

アニソンとしてのこの曲の優れた点はその距離感ですね。アニメから切り離しても聴けるし、結びつけてもきける。キーワードを適度にちりばめながらも、重なりすぎずにそれ単体としても十分に聴ける曲になっています。

2位『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』1989年「遠い記憶」椎名恵

ガンダムシリーズ、全部見たわけではないんですけどそれなりに見てて、その中で一番僕が好きなのが所謂「ポケ戦」です。だからというわけではないのですがオープニング、エンディング共に名曲で特にこのエンディングは感動的です。

シンセのノスタルジックなサウンドとそれにマッチする幼いころの気持ちを回想する歌詞がたまりません。

また、この曲に付随するアニメーションがまた素晴らしく、涙をさそうんです。基本的に静止画が次々と映し出されるだけで動きの無いシンプルな作りなんですけど、そこに描かれているのが戦争という日常の中で、無邪気にらしさを発揮する子供の様子なんですよ。彼等は大人たちが勝手に始めた戦争の中でも子供らしく振舞っている。その屈託のない感じが涙を誘います。

1位『天空の城ラピュタ』1986年「君をのせて」井上あずみ

宮崎駿作詞、久石譲作曲の名曲。ニュー・エイジという音楽ジャンルがありまして、元々はピッピー文化に根ざしたスピリチュアルなシンセ主体のインスト音楽なんですけど、久石譲の劇伴って割とニュー・エイジっぽさがあるんです。

この曲も割とニュー・エイジ的な要素がある曲で、それに歌とオーケストラが絡んでくるのがなかなかサウンドとしては新鮮です。

いずれにせよ一本の映画のラストに相応しい壮大なスケールを感じさせる音像に仕上がっています。

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