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ディスクガイドからインタビューまで:音楽本おすすめまとめ

様々な音楽本が日々出版されていますが「これはおすすめ、名著!」といったものの一覧が無かったので作りました。

残念ながら中には絶版になっているものもありますが、最近はネットで蔵書が検索できるようになっていますので、高価な中古品に手を出す前に是非お近くの図書館の蔵書をお調べください。とくに都道府県の中央図書館には結構あったりしますし、最近はそこから最寄りの図書館への取り寄せサービスなども行われていたりしますので、是非ご活用ください。

随時更新(最終更新日2023/2/18)

ディスクガイド

『現代メタルガイドブック』監修:和田信一郎(aka s.h.i.

現在の視点からメタルという巨大なジャンルをとらえなおし、新たな定番リストとでもいえるべきものを提示して見せた意欲的なメタルガイドブック。ブラックサバスからBABYMETALまで、意外となかった昔から現代までの「メタル」名盤を紹介した一冊。結構ラディカルな選盤なので、ド定番を知りたい人は別のメタルディスクガイドも併読した方がジャンル全体の理解は深まるかもしれない。

『日本語ラップ名盤100』韻踏み夫・著

これはマストだろという名盤は一通り全部おさえてある、日本語ラップ入門として最適なディスクガイド。関連盤もおさえているので300枚近くのアルバムが紹介されている。日本語ラップの入門書として適切なだけでなく、批評書としても価値が高い高密度な文章で二度おいしい一冊。

『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』監修・編集:門脇綱生

今まで見過ごされてきたが、実は密かに再評価されていたニューエイジ・ミュージックやヒーリング・ミュージックに光を当てて、その魅力について存分に紹介した一冊。各項目ごとに、これは必聴盤とされるものが大きく取り上げられていてわかるようになっていたり、体系的な理解がなかなか難しい「そもそもニューエイジ思想ってなんだ」という疑問に答える読み物だったり、細野晴臣岡田拓郎の対談だったり、読み物としても充実、構成も行き届いていて理想的なディスクガイド

『新蒸気波要点ガイド(ヴェイパーウェイヴ・アーカイブス2009-2019)』佐藤秀彦・著

ヴェイパーウェイヴのディスクガイド。こちらも『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』同様、ジャンルの歴史をまとめた記事やアーティストのインタビュー、用語集、イラストなど、構成が丁寧で読んでて飽きないディスクガイドになっている。

『REGGAE definitive』鈴木孝弥・著

実はロックやヒップホップと同じぐらい、いやもしかしたらそれ以上かもしれないぐらいデカいジャンルであるレゲエの名盤を時系列順に紹介していくディスクガイド。スカロックステディーに始まり、ルーツロックレゲエダブダンスホールから、所謂レゲトンや近年のレゲエリヴァイバルまでの流れを抑えたディスクガイド。

『HOUSE definitive 1974-2014』監修・西村公輝+三田格

必ずしもアルバムメインのジャンルではないため、なかなか全貌がつかみづらいハウスのディスクガイド。もうちょいコラム的なものや、歴史などが見やすくなっていれば……と思わなくもない。絶版だが、他のDifinitiveシリーズの動きを見ると改訂版も、もうすぐ出そうな気もするので、その点の補強を期待。

自伝・伝記

『マイルス・デイヴィス自伝』

写真は宝島社からでた古い文庫2冊バージョン

ジャズ界のみならず、ポピュラー音楽全般に多大なる影響を与え、いくつかの変革をもたらしてきた偉大なトランぺッターの自伝。印象的なのが、マイルスがめちゃくちゃ勉強家ということである。彼の創作の秘密の一部が明らかになる一冊でもあるし、何らかの形で芸術を志す人にも参考になりそうな一冊。

インタビュー集

『ワイルド・ウインター―ブランキー・ジェット・シティインタビュー集』高尾知之・著

ブランキー・ジェット・シティのファンクラブ会報をまとめた書籍。彼らの創作やサウンドの秘密などの音楽的な収穫は全く期待できない一冊だが、とにかく面白くて笑える。これ以上に笑った音楽本はない。文庫の為白黒だがメンバーの写真もカッコいい。絶版だが、まだBook Offなどで比較的安価に手に入るためファンにはおすすめ。バンドも解散してるし、コンプラ的にアウトなポイントもあるので残念ながら再版はなさそうなのでお早めに。

歴史・基礎教養

『ミックステープ文化論』小林雅明

なかなか理解しにくいミックステープという概念をその成り立ちから丁寧に説明した一冊。ディスクガイドからは見えてこないヒップホップの歴史についても知れる貴重な一冊。

『2010s』宇野維正、田中宗一郎 ・著

音楽評論家、田中宗一郎、宇野維正、両氏の対談形式による2010年のポップカルチャーの流れについての本。音楽、映画、TVドラマシリーズなどが非常にハイコンテクストになった2010年代のキーワードが羅列されており、時代のながれ、作品の背景にある諸問題の理解のとっかかりに非常に重宝する一冊

歌詞

『ロックの英詞を読む―Rock Between The Lines』ピーター・バラカン・著

ロックの定番曲の歌詞を筆者が英語表現や社会背景の解説を含めながらも丁寧に行っている良書。普段から聴いている曲の歌詞にこんな深い意味があったのか、こんなに考えられて歌詞って書かれてるのかとびっくりさせられ、ちゃんと歌詞を読み込もうと考えを改められた一冊。というわけでクラシックロックファンにはおすすめの一冊なのだが、すでに絶版で、現在手に入るのはこの続編的な『ロックの英詞を読む: 世界を変える歌』のみ。こちらもいいのだが、選曲が今回紹介したものよりも筆者の好みが反映されたのかマニアックになっており、本書の方がおすすめ。前述のとおり絶版だが、英語の教材としても扱われているため比較的図書館などにも置いている率が高いので、是非チェックを。

『音楽とことば~あの人はどうやって歌詞を書いているのか~』江森丈晃・編

複数の邦楽アーティストとのインタビューで、彼らの作詞方法に迫る一冊。絶版でプレミア化してしまっているので、図書館で探してみてください。

目次

図録・アルバムジャケットアート・写真集

『Vinyl, Album, Cover, Art: The Complete Hipgnosis Catalogue』Aubrey Powell

イギリスのデザイン・アートグループ、ヒプノシスのアルバムジャケット全仕事を網羅した図録。日本語版は『ヒプノシス全作品集』として2000部限定で発売され、現在プレミア化しており中古は3万以上の値段がするが、原書は当然英語だが、今でも6,000円前後で購入可能。英語がわからなくても十分写真だけで楽しめる内容だし、英語が読めれば、その驚くべき撮影方法(当時は当然Photoshopやillustratorなんてなかった)やデザインの秘密、作品の逸話などが明らかになる一冊。これはめちゃくちゃおすすめ。

楽器

『ドラマー立志風雲録』三浦晃嗣・著

ドラムマガジンでの連載を収録した一冊。一人のドラマーのプレイにフォーカスして、ドラムキットの細かい内容や、音作りの秘密、を具体的な譜例を挙げつつ解説していく名著。にもかかわらず販売当時は2,000円という超激安価格だった。ドラマーは必読。絶版、入手困難。

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