今回はピアノやキーボード、シンセサイザーなどの鍵盤楽器がカッコいい曲をお送りします。
いわゆるポップやロック、ジャズなどのポピュラーソングが中心で、クラシックの曲は取り扱いません。
鍵盤楽器が際立って目立つ曲をお探しの方、バンドで自分のパートがキーボードでカッコいいフレーズなどをつくりたいなーって方、
参考になればなと思って書いてます。
当然ただ単に鍵盤楽器のカッコいい曲が気になる方にもオススメです。
- 1. ビリー・ジョエル「イタリアン・レストランで」Billy Joel “Scenes from an Italian Restaurant”
- 2. バド・パウエル「クレオパトラの夢」Bud Powell “Cleopatra’s Dream”
- 3. ニック・ロウ「アイ・ラヴ・ザ・サウンド・オブ・ブレイキング・グラス」 Nick Lowe “(I Love The Sound Of) Breaking Glass”
- 4. スタイル・カウンシル「ミックズ・ブレッシングス」The Style Council “Mick’s Blessings”
- 5. スコット・ジョプリン「エンターティナー」Scott Joplin “The Entertainer”
- 6. XTC「メカニック・ダンシング」XTC “Meccanic Dancing (Oh We Go!) “
- 7. ドアーズ「ハートに火をつけて」The Doors “Light my fire”
- 8. ヴェルヴェット・アンダーグラウンド「僕は待ち人」The Velvet Underground “I’m Waiting For The Man”
- 9. BO GUMBOS 「魚ごっこ」
- 10. ミシェル・カミロ&トマティート「スペイン」Michel Camilo & Tomatito “Spain”
- まとめ
1. ビリー・ジョエル「イタリアン・レストランで」Billy Joel “Scenes from an Italian Restaurant”
鍵盤の特集で彼を外すわけにはいきませんね。
ピアノ弾きで著名なシンガーソングライターといえばやっぱりエルトン・ジョンとかスティーヴィー・ワンダー、そしてやっぱりビリー・ジョエルですかね。
今回取り上げたいのは1977年発表の大ヒットアルバム『ストレンジャー』からの一曲ですね。
7分以上もあるんですけど、曲が3パートぐらいの構成に分かれているんですね。
久々に再開した一組の男女が過去を振り返る曲なんですけど、それぞれのパートで素晴らしいピアノアレンジを堪能できる曲なんですよ。
特に中盤2:48秒ごろから「ブレンダとエディ」の物語が始まるパートからのアップテンポなピアノがカッコいいですね。
歌詞の内容も一組のカップルをめぐる人生譚で、ジーンとくるストーリーになっています。是非歌詞を読みながら聴くことをオススメします。
2. バド・パウエル「クレオパトラの夢」Bud Powell “Cleopatra’s Dream”
ジャズの帝王、マイルス・ディヴィスが天才と認めた男。
それはチャーリー・パーカーとバド・パウエルだけなんですね。
正直ジャズでピアノがカッコいい曲っていったらそれこそきりがなくて、今回の特集全部ジャズピアノという制限をつけられたとしても全然困らないんです。
ですので取り上げるからには何か決定的アーティストの決定的な一曲を、ということでバド・パウエルの代表曲の一つで最もポピュラーなこの曲にしてみました。
イントロからエレガントでクールなフレーズで引き込まれますね。
注意深く聴いているとバド本人のピアノをなぞる歌声やうめき声が聞こえてきます。
クラシックのピアニストでグレン・グールドという人がいるんですけど、彼も呻きながら弾いていて、それがレコーディングに残っていたりします。
キース・ジャレットというジャズピアニストもそうですね。
3. ニック・ロウ「アイ・ラヴ・ザ・サウンド・オブ・ブレイキング・グラス」 Nick Lowe “(I Love The Sound Of) Breaking Glass”
エルビス・コステロなどのプロデュースで知られるニック・ロウのデビューアルバムからの一曲。
ニック・ロウはピアニストではなく、ベーシストなんですけど、この曲はピアノがいい味だしているんですよ。
歌と歌の間を華麗に埋め合わせて曲に華やかさを与えていますね。
というか全てのパートのアレンジがカッコいい曲なんですけどね。
それぞれのパートに見せ場があって聴いてる方も飽きないし、注目する楽器を変えることで何度も楽しめる曲だと思います。
バンドアレンジの参考にもなるかと思います。
4. スタイル・カウンシル「ミックズ・ブレッシングス」The Style Council “Mick’s Blessings”
ミック・タルボットの軽快なピアノがスタイル・カウンシルの名盤1st『カフェ・ブリュ』(1984年発表)の幕開けを高らかに歌い上げる素晴らしいナンバー。
1日のスタートにもぴったりで朝これを聴くと気分がもりあがりますね。
短いながらも起承転結がはっきりしていて聴きごたえのあるピアノインストナンバー。
これ弾けるようになって人前でさっと披露できたらめちゃくちゃカッコいいですね(笑)。
YouTubeでカバーの動画がいくつかあがってるんですけど、原曲ぐらいのいい感じのノリを出すのって結構難しそうですね。
しかし弾いてて気持ちよさそうです。
スタイル・カウンシルはポール・ウェラーがパンクバンド、ザ・ジャム(The Jam)を解散させて作ったバンド。
ポールがパートナーとして選んだのがミックだったんですね。
ジャズやソウル、ファンク、ヒップホップの要素などを取り入れたお洒落でダンサブルでポップなそのサウンドはフリッパーズ・ギターをはじめ日本のミュージシャンにも多大な影響を与えました。
5. スコット・ジョプリン「エンターティナー」Scott Joplin “The Entertainer”
ラグタイムの王、スコット・ジョプリン によるほぼ100%の人が聴いたことあるのではないかという超有名曲。
映画『スティング』で時を越えて蘇った名曲でもあります。
ラグタイムというのはジャズのルーツの一つでリズムのシンコペーション(強調)を特徴とする19世紀末に発生して20世紀の前半に盛んだった音楽ですね。
そのラグタイムの中でも一番有名なのがおそらくこの曲でしょう。
軽快でうきうきするようなリズムとメロディで、どこかユーモラスで。僕はなんとなくチャップリンを連想しちゃうんですけど。
しかし、これも弾けたら気持ちよさそうですね。弾いてるだけで楽しくなれそうです。
ピアノが弾けたら、最初の部分だけでも練習したい一曲。
6. XTC「メカニック・ダンシング」XTC “Meccanic Dancing (Oh We Go!) “
コアなファン層を持つ知る人ぞ知るイギリスのロックバンド、XTC。
その初期のナンバーからキーボードのバリー・アンドリューズが電子オルガン、エレピ、クラヴィネットをリズミカルに使用したパンクダンスナンバー!
ポップで踊れて、パンクって最高じゃないかと思います。
そのテンション高めの攻撃性の高いポップチューンの虜になったら最後、XTCの世界から抜け出せなくなりますね。
イントロからクラヴィネットの痙攣してるような神経質でいかついフレーズがたまんないです。
バリーのこの独特のリズミカルで攻撃的なフレージングはXTCのファーストとセカンドで十分に味わえます。
しかし残念ながらバリーはこの曲の入っているセカンドアルバム『Go2』で脱退して、バンドはバリーのキレキレのキーボードサウンドからギター中心の音作りになっていっちゃうんですね。
ですが、その後も名盤名曲を量産し続けました。
ミュージシャンの間で評判が高く、ファンが多いのも特徴のバンドです。
7. ドアーズ「ハートに火をつけて」The Doors “Light my fire”
ドアーズはボーカリストのジム・モリソンの文学的かつ挑発的な歌詞と、サイケデリックなサウンドで短い活動期間ながらも大きな爪痕をロック史に残したバンド。
そんな彼らの一番有名で、レイ・マンザレクのアイコニックなオルガンがイントロにフィーチャーされた「ハートに火をつけて」を紹介したいと思います。
何はともかくこのイントロですよね。
結構ユーモラスなフレーズなんですけど歌は凄くシリアスでミステリアスな雰囲気で始まるのも面白いです。
そして7分近くもあるんですが大半がオルガンとギターによるソロ部分という今では結構珍しい構成になっています。
どうしても鍵盤のレイ・マンザレクとボーカルのジム・モリソンに注目が集まってしまうバンドなんですげど、ジャズに影響を受けてるジョン・デンズモアのドラムも、実は結構ソングライティングの要であったロビー・クリーガーのギターも良いし、ドアーズって実は4人のバランスがすごくいいバンドなんですよね。
キーボードの存在感をアピールしつつも全体としていい曲をバンドで作りたいかたはドアーズは結構参考になるんじゃないでしょうか。
8. ヴェルヴェット・アンダーグラウンド「僕は待ち人」The Velvet Underground “I’m Waiting For The Man”
1960年代後半に活躍し、70年代前半に解散したが、後のパンク、グランジ、オルタナティブといったジャンルに多大なる影響を与えてきた伝説のバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド。
今回紹介したいのはそんな彼らの名盤1stからの一曲。
ジョン・ケイルのバレルハウス/ブギウギスタイルのピアノが高らかになり続ける永遠のマスターピース。
これはめちゃくちゃシンプルで簡単なのでギタリストも少し練習すればできそうですね。
ピアノの打楽器的な特徴を利用した実にロック的なアプローチ。
ストロークスを始め、どれだけのバンドがこの曲や彼らに影響を受けて来ただろうっていう一曲でもあります。
9. BO GUMBOS 「魚ごっこ」
邦楽からもセレクトしてみました。
ガンボ・ミュージックとボ・ディドリーから名前がとられたBO GUMBOSの代表曲「魚ごっこ」。
Dr.kyOnの軽快なピアノが全編に渡って堪能できるキーボーディスト必聴の名曲。
ガンボ・ミュージックとはニューオリンズ特有のさまざまな地域の音楽がごった煮になった音楽のことで、この曲のピアノもまさしく、ニューオリンズの音楽の持つリズムの楽しさファンキーさ、エッセンスを十二分に伝えてくれる名演だと思います。
10. ミシェル・カミロ&トマティート「スペイン」Michel Camilo & Tomatito “Spain”
もともとはジャズピアニスト、チック・コリアの名曲です。
しかしこのミシェル・カミロとトマティートのピアノとギターだけの演奏が決定的名演と言えるのではないでしょうか。
原曲はもっと明るく陽気な印象を与えるアレンジですけど、このアレンジは違いますね。
もっとグッと原曲のメロディの持つ、哀愁、切なさ、情熱を引き出すことに成功しています。
前述した通りギターとピアノだけのシンプルな編成なんですが、様々な人生、人々の思いが凝縮されたような演奏ですね。
カッコいいだけじゃなくて涙腺も刺激するような名演だと思います。
まとめ
という事でピアノ、キーボード、シンセがのカッコいい曲を集めてみました。
かっこよさにも色々ありましたね。
色々と聴いてきましたが、鍵盤楽器のカッコよさの秘訣は、もちろんそのメロディーに拠るところもおおきいんですけど、
リズムと音色、
だとおもいました。
リズムに関しては、いかにキレがよく、リズミカルに、適切な強弱をつけてフレーズを繰り出して、楽曲をドライブできるか、ですね。
音色に関していえば、たとえばXTC「メカニック・ダンシング」のクラヴィネットやドアーズ「ハートに火をつけて」のオルガンなど、その楽器にしか出せないユニークな響きが楽曲に彩をあたえています。
またそういう特殊な鍵盤楽器でなく、普通のピアノでも弾く人と楽器そのものの個体差で結構ちがうなというのは上記の演奏を聴き比べて見てもわかるかと思います。
また機会がありましたら今度はイントロ、リフがカッコいい鍵盤楽器の曲を特集する予定です。