Twitter(X)上で行ったアンケートによる邦楽アルバムランキングの結果を発表していく。実は2020年にも同様のアンケートを行っており、2019年末までのアルバムが対象だったため、開催自体は四年ぶりとなるが、内容的には約五年分の開きがある。
前置き抜きで今回の結果を知りたいかたはこちらから。以下、ルール等の説明。
・集計期間:2024年9月13日から9月22日深夜まで
・邦楽アルバムを30枚選び「順位をつけて」一人一回投票
・1位は30点、2位は29点……30位は1点としてカウントして集計。得点の多いアルバムから順位をつける。
選盤に選んでくれる人の批評性が反映されるように順位をつけてもらうように設定。30枚選んで順位をつけるというのは結構な労力とその人なりの審美眼が必要になる。そういうランキングが見たかったのでこのようなデザインにした。ここは前回から変更なし。
以下選盤のルール。
・1960年ごろから現在(2024年9月頃)までに発表された邦楽アルバム
・1アーティスト、1バンドにつき3枚まで。ただし、1アーティストの参加アルバムが3枚を超えるのはOK。例えば細野晴臣ソロ3枚、YMO3枚、はっぴいえんど3枚選ぶのはあり。
・ベストアルバム、コンピレーションアルバム、サウンドトラック、リミックスアルバム、ミニアルバム、EP、すべてOK。ただし、複数のアルバムを網羅したBoxセットなどは不可。
前回対象アルバムのリリース期間を前年の12月、2019年の12月末にした。しかしそれによって2020年の前半に出ていたアルバムも得票があったにもかかわらず断ってしまい(例えばGEZANの『狂(KLUE)』は当時から複数の票が来ていた)、発表されたての優れたアルバムを弾いてしまった反省があったので、今回から現在までというあいまいな設定にした。また1960年ごろという設定も、アルバムがただの曲の寄せ集めではなく、一つのまとまりとしてのアートフォームたりえるという考え方が60年代中旬からでてきたのでそれに合わせた。実際にそういう考え方が日本に輸入されて、それが反映されたアルバムが発表され始めたのは70年代初頭ぐらいからだと思うが、勿論60年代からアルバムは日本でも出ているので60年代ごろとした。なので実際に60年代より前の音源の投票もあったが、可とした。
前回はベスト盤、コンピレーションアルバムは不可とした。しかし、それによってブッダブランドの唯一のオリジナルアルバムが投票できないなどの不都合があったため、今回から変更。それからベスト盤が顧みられなくなって久しいが、改めて良いベスト盤とはなんなのか、どんなベスト盤が人気があるのか知りたかったこともあって改訂を行った。
唯一この項目で変更がなかったのは1アーティスト三枚という縛りだが、これは二枚縛りぐらいに変えるべきだったと集計を始めてから後悔した。実は前回の集計時から同じことは考えていたのだが忘れてしまっていた。
なお100位以内のアルバムで、同点の場合は「投票数が少ないほう」つまり、より高順位に選んだ人が多かった方を上位とした。選者の熱意、思い入れが何よりも重要だと考えているので、例えば、選者はそれほど多くないが高得点が多いアルバムと一人一人の得点は低いが有名なため得票が多いアルバムが同点だった場合前者が優遇されるべきと考えたためである。このルールは前回も同じだったが割と批判もあったが変えなかった。
・参加人数:494名
・総アルバム数:5,529枚
・ベストアルバム、コンピレーションアルバム、サウンドトラック、リミックスアルバム、ミニアルバム、EP、すべてOK。ただし、複数のアルバムを網羅したBoxセットなどは不可。
前回の参加者数は200名だったが、当時のTwitterでのフォロワー数(確か800人程度)よりも現在の方が多い(8000人程度)ので、人数が倍以上になったのは不思議ではない。
以上、前置きが長くなったが下記より実際のランキングの発表にうつりたい。データとして前回得票があったものに関しては前回の順位も一緒に発表している。結果に対する感想等はまた別の記事を設けて発表するつもりで、その際には実際にいただいた批判や感想等を交えつつ所感を述べていこうと思っている。
100位 『Q』Mr.Children(2000年) 342点 (前回290位)
99位 『ひこうき雲』荒井由実(1973年) 345点 (前回29位)
98位 『POP VIRUS』星野源(2018年) 349点 (前回94位)
97位 『diorama』米津玄師(2012年) 353点 (前回332位)
96位 『C.B.Jim』 BLANKEY JET CITY(1993年) 354点 (前回44位)
95位 『DANCE TO YOU』サニーデイ・サービス(2016年) 362点 (前回98位)
94位 『THE BAY』Suchmos(2015年) 363点 (前回196位)
93位 『Please Mr. Lostman』the pillows(1997年) 366点 (前回259位)
92位 『ファンクラブ』ASIAN KUNG-FU GENERATION(2006年) 369点 (前回135位)
91位 『Lifetime』GRAPEVINE(1999年) 369点 (前回57位)
90位 『three cheers for our side 〜海へ行くつもりじゃなかった〜』フリッパーズ・ギター(1989年) 370点 (前回133位)
89位 『アダンの風』青葉市子(2020年) 371点 (前回-位)
88位 『狂 (KLUE)』GEZAN(2020年) 375点 (前回-位)
87位 『卵』betcover!!(2022年) 375点 (前回-位)
86位 『タオルケットは穏やかな』カネコアヤノ(2023年) 376点 (前回-位)
85位 『泰安洋行』細野晴臣(1976年) 383点 (前回22位)
84位 『POLY LIFE MULTI SOUL』cero(2018年) 390点 (前回68位)
83位 『MODERN TIMES』PUNPEE(2017年) 390点 (前回116位)
82位 『YELLOW DANCER』星野源(2015年) 391点 (前回157位)
81位 『サニーデイ・サービス』サニーデイ・サービス(1997年) 393点 (前回61位)
80位 『MISSLIM』荒井由実(1974年) 394点 (前回34位)
79位 『ERA』中村一義(2000年) 398点 (前回40位)
78位 『な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い』ゆらゆら帝国(2003年) 399点 (前回-位)
77位 『南蛮渡来』暗黒大陸じゃがたら(1982年) 402点 (前回41位)
76位 『GAME』Perfume(2008年) 407点 (前回42位)
75位 『一触即発』四人囃子(1974年) 409点 (前回50位)
74位 『メシ喰うな!』INU(1981年) 411点 (前回92位)
73位 『HELP EVER HURT NEVER』藤井風(2020年) 415点 (前回-位)
72位 『フジファブリック』フジファブリック(2004年) 415点 (前回84位)
71位 『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』NUMBER GIRL(1999年) 415点 (前回28位)
70位 『Fantôme』宇多田ヒカル(2016年) 418点 (前回114位)
69位 『ソルファ』ASIAN KUNG-FU GENERATION(2004年) 420点 (前回101位)
68位 『HELL-SEE』Syrup16g(2003年) 421点 (前回76位)
67位 『フェイクファー』スピッツ(1998年) 438点 (前回37位)
66位 『加爾基 精液 栗の花』椎名林檎(2003年) 438点 (前回113位)
65位 『BANG!』BLANKEY JET CITY(1992年) 441点 (前回150位)
64位 『東京』サニーデイ・サービス(1996年) 442点 (前回17位)
63位 『図鑑』くるり(2000年) 455点 (前回31位)
62位 『三日月ロック』スピッツ(2002年) 458点 (前回108位)
61位 『ワルツを踊れ Tanz Walzer』くるり(2007年) 459点 (前回36位)
60位 『燦々』カネコアヤノ(2019年) 461点 (前回262位)
59位 『First Love』宇多田ヒカル(1999年) 461点 (前回62位)
58位 『黒船』サディスティック・ミカ・バンド(1974年) 467点 (前回74位)
57位 『FOR YOU』山下達郎(1982年) 491点 (前回33位)
56位 『アンテナ』くるり(2004年) 503点 (前回86位)
55位 『BGM』イエロー・マジック・オーケストラ(1981年) 504点 (前回24位)
54位 『Modal Soul』Nujabes(2005年) 512点 (前回59位)
53位 『Obscure Ride』cero(2015年) 533点 (前回23位)
52位 『SAPPUKEI』NUMBER GIRL(2000年) 536点 (前回25位)
51位 『AINOU』中村佳穂(2018年) 549点 (前回45位)
50位 『kocorono』bloodthirsty butchers(1996年) 549点 (前回18位)
49位 『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』銀杏BOYZ(2005年) 564点 (前回60位)
48位 『ペイパードライヴァーズミュージック』キリンジ(1998年) 567点 (前回73位)
47位 『家庭教師』岡村靖幸(1990年) 572点 (前回14位)
46位 『HIGHVISION』SUPERCAR(2002年) 581点 (前回79位)
45位 『POINT』Cornelius(2001年) 586点 (前回13位)
44位 『病める無限のブッダの世界~BEST OF THE BEST(金字塔)』BUDDHA BRAND(2000年) 599点 (前回-位)
43位 『THE BLUE HEARTS』THE BLUE HEARTS(1987年) 603点 (前回43位)
42位 『TEAM ROCK』くるり(2001年) 608点 (前回39位)
41位 『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』イエロー・マジック・オーケストラ(1979年) 627点 (前回27位)
40位 『サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態』NUMBER GIRL(2003年) 639点 (前回287位)
39位 『時間』betcover!!(2021年) 641点 (前回-位)
38位 『ユグドラシル』BUMP OF CHICKEN(2004年) 647点 (前回295位)
37位 『勝訴ストリップ』椎名林檎(2000年) 649点 (前回69位)
36位 『LONG SEASON』フィッシュマンズ(1996年) 652点 (前回141位)
35位 『our hope』羊文学(2022年) 663点 (前回-位)
34位 『Your Favorite Things』柴田聡子(2024年) 668点 (前回-位)
33位 『HOSONO HOUSE』細野晴臣(1973年) 668点 (前回19位)
32位 『[lust]』レイ・ハラカミ(2005年) 672点 (前回58位)
31位 『TEENAGER』フジファブリック(2008年) 675点 (前回54位)
30位 『新しい果実』GRAPEVINE(2021年) 689点 (前回-位)
29位 『SONGS』シュガー・ベイブ(1975年) 695点 (前回30位)
28位 『深海』Mr.Children(1996年) 698点 (前回115位)
27位 『THE WORLD IS MINE』くるり(2002年) 705点 (前回48位)
26位 『CAMERA TALK』フリッパーズ・ギター(1990年) 719点 (前回35位)
25位 『名前をつけてやる』スピッツ(1991年) 732点 (前回26位)
24位 『98.12.28 男達の別れ』フィッシュマンズ(1999年) 747点 (前回104位)
23位 『sakanaction』サカナクション(2013年) 748点 (前回181位)
22位 『andymori』andymori(2009年) 752点 (前回83位)
21位 『3x3x3』ゆらゆら帝国(1998年) 768点 (前回16位)
20位 『3』キリンジ(2000年) 771点 (前回15位)
19位 『宇宙 日本 世田谷』フィッシュマンズ(1997年) 789点 (前回12位)
18位 『ハチミツ』スピッツ(1995年) 807点 (前回126位)
17位 『風街ろまん』はっぴいえんど(1971年) 830点 (前回2位)
16位 『平成』折坂悠太(2018年) 838点 (前回32位)
15位 『BADモード』宇多田ヒカル(2022年) 850点 (前回-位)
14位 『GEAR BLUES』THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(1998年) 868点 (前回9位)
13位 『犬は吠えるがキャラバンは進む』小沢健二(1993年) 869点 (前回49位)
12位 『ファンファーレと熱狂』andymori(2010年) 903点 (前回10位)
11位 『e o』cero(2023年) 922点 (前回-位)
10位 『スリーアウトチェンジ』SUPERCAR(1998年) 993点 (前回21位)
9位 『FANTASMA』Cornelius(1997年) 1012点 (前回5位)
8位 『ハイファイ新書』相対性理論(2009年) 1018点 (前回47位)
7位 『A LONG VACATION』大滝詠一(1981年) 1031点 (前回4位)
6位 『金字塔』中村一義(1997年) 1064点 (前回11位)
5位 『DOCTOR HEAD’S WORLD TOWER -ヘッド博士の世界塔- 』フリッパーズ・ギター(1991年) 1099点 (前回8位)
4位 『無罪モラトリアム』椎名林檎(1999年) 1116点 (前回7位)
3位 『空中キャンプ』フィッシュマンズ (1996年) 1345点 (前回3位)
2位 『空洞です』ゆらゆら帝国(2007年)1456点 (前回1位)
1位 『LIFE』小沢健二(1994年) 1503点 (前回6位)
わかっていることだとは思うが、このランキングはいってしまえばただの「人気投票」であり、得票数を機械的に並べているだけなので結果自体にはそれほどの批評性ない。いちアーティストが複数のアルバムをランクインさせたり、90年代が異様に強かったりする偏りもその結果である。当然このリストが絶対というわけではないし、批判すべき点も多々あるかと思う(私も結果に対して不満がないわけではない)。ただ投票者には30枚選んで必ず順位をつける、1アーティスト三枚までという縛りがあり、それにはある程度の批評眼や個人の基準が必要なため、今回のリストには一定の説得力はあり、参考にはなりえるものだとは思っている。