引き続き、邦楽アルバムベスト100。80位から71位です。
ここから少しずつこういったベスト100企画の常連アルバムがぽつぽつ出てきます。
80位 BUMP OF CHICKEN 『THE LIVING DEAD 』2000年
「天体観測」で大ブレイクする前のインディーズ2枚目。
青臭いセンチメンタリズム、理想主義。彼らが大嫌いな人がいるのは良く分かりますが、その熱量が眩しいんですよね。この頃のバンプのギターって結構装飾のない無骨な音なんです。それがジャケットの白黒の感じとかにあってます。
今はディレイとかのエフェクター駆使して広がりを持たせる音像が好きというイメージですが、このバラエティ少ない音色で一枚聴かせるのは実は凄いことなのでは。
とにかく荒削りではありますが若々しく、語られるストーリーにあった演奏を聞かせてくれる感じです。ですのでメジャーアルバム一発目の一曲目とか、お金かかってるから音がクリアになったのもそうなんですけど、ギターの音色とか、あ、変わったなって思いました。最近の歌詞はこの2ndの頃と比べると、どんどん抽象的になって物語性が薄れていってる気がしますね。
このアルバムについて詳しくは下のリンク先をご覧ください。全曲解説しています。
79位 YMO『サーヴィス』1983年
割とキャリアの中でも無視されがちなアルバム。しかし隠れた名曲が沢山入っている隠れた名盤です。
曲の合間に三宅裕司率いるS.E.T(スーパー・エキセントリック・シアター)のコントを収録…。しかし正直コントの方は一度聞けばそれでいいかなと…。
このアルバムと『浮気なぼくら』をまとめて一枚にして、曲を厳選していたら凄いポップアルバムが誕生してたとおもうんですよね…。同時期に発表されてた「Chaos Panic」が加わったらなお良しです。そしたらTop10に入れていたかも知れないですね。
おすすめの曲
「THE MADMEN」教授(坂本龍一)が国宝級と称した細野さんのベースが堪能できる不穏な雰囲気を纏った名曲。タイトル元ネタは諸星大二郎のマンガ『マッドメン』から。マッドメンとはパプア・ニューギニアのアサロ族が先祖の霊を模した扮装をするんですけど、その際、全身に泥を塗って、仮面を被るんですね、その姿をMud Men(泥の男達)と呼ぶんだそうです。故にこの曲の綴りも本当はMudmenが正しいです。誤植がそのままになってしまったんですね。
「Perspective」この曲は死ぬまで聴き続けると思います。シンプルな歌詞の行間から、生活や人生のなんたるかを優しく問いかけられているの様な心持になります。教授の歌は他のメンバー2人に比べると見劣りしてしまうのですが、この曲は教授の歌でなくてはならない気がします。
78位 ASIAN KUNG-FU GENERATION 『ファンクラブ』2006年
ギターとドラムのコンビネーションにひたすらコミットしたバンドとしての一体感をビンビン感じる最高傑作。
「リライト」はピンとこなかったけどギターロックが好き、という人にすすめたい1枚。
この作品についてはもうすでにこの記事で書きましたので、詳しくは記事を読んでいただければ。
記事にも書きましたがドラムが素晴らしいアルバムでもあります。ドラマーは是非チェックしてもらいたいですね。
77位 GAO『Roi Roi』1992年
このアルバムが他のこういったランキングで紹介されていることもないですし、そもそも世代じゃないのもあり、メディアなどで紹介されているところも見たことないです。
確かに1992年特有のサウンドといいますか、古さは感じるものの、2010年代には結構耳なじみのある透明感を重視したようなサウンドプロダクションは今でも聴けるのでは無いでしょうか。それになんといっても良い曲が沢山入っていて捨て曲がない良いアルバムだと思います。
おすすめの曲
「サヨナラ」一番のヒット曲。今聴くとモロ、ポリスの「見つめていたい」からの影響を感じますが、名曲。 古いと思うけどめちゃ好きでいまでもたまに聴きます。
「だれかひとりくらい」こんな感じの曲が入ってます。 某中古チェーンで非常に安価で売られていることが多いので見つけたらレスキューして下さい。
76位 七尾旅人『billion voices』 2010年
70年代のフォークミュージックが様々な要素、現代的テーマを飲み込んでアップデートされたような21世紀のフォークミュージック。激しさと優しさが同時に存在して感情を揺さぶってくるようなアルバムですね。
七尾旅人の魅力、個性とは一体なんでしょう?
それは、歌を必ず何処かで「はみ出させ」たり「破綻」させたりすることだとおもいます。
それは「過剰さ」によるものだったり「組み合わせの妙」だったり。
使い古されたイメージや言葉、ジャンル定義的なフレーズも組み合わせや強弱でにより「異化作用」を起こせる。
七尾さんの楽曲には必ず何かしらの心地よい異物があるんですよね。
そして、その中心にはフォークソング的なグッドメロディを伴った歌があるから、前衛と同時に親しみやすさもあるんです。
おすすめの曲
「I Wanna Be A Rock Star」妻子持ちのサラリーマンが会社に辞表をロックスターを夢見るという、フィクションならコテコテ、現実なら(大抵は)悲劇のストーリーで全く共感を得にくいですが、この曲はどちらにも着地させずにファンタジーにして、「あり」だと思わせてしまう。また、どこまでが現実かも曖昧な曲です。よくあるロックンロールの気持ちいいが、ダサい決まり文句、定型文を、過剰なパフォーマンスで、静かなアコースティックギターの反復フレーズ上という場違いな場所に放り込んできます。これが、この楽曲の気持ちのいい異物感に貢献している。で、最後は本当にロックスターにならせて〆る。やりたい放題ですね。
「シャッター商店街のマイルスデイビス」ギターフレーズのループをベースにピアノフレーズが断片的に絡んでいく。そんなトラック上に語りともポエトリーリーディングともいえる歌がトランペットの擬音などを交って盛り上がっていく展開が実にスリリングで、じっと聴き入ってしまいます。
75位 Mr.Children『Q』 2000年
個人的にはミスチル最高傑作。ミスチルのなかでは一番実験的な要素と遊び心を感じるアルバムで、それと桜井和寿のソングライティングの技量が上手くブレンドされた名盤。しかしその実験精神が一般的には不評だったのかセールス的には奮いませんでした…。このアルバムもすでに当サイトのこの記事にて詳しく解説されていますので、詳しく知りたいかたはこちらをどうぞ。
74位 暗黒大陸じゃがたら『南蛮渡来』 1982年
ファンクビートの上をスルドイ言葉が縦横無尽に駆け巡るその様が実にスリリングなデビューアルバム。このアルバムの後はJAGATARA(じゃがたら)として活動をしていきます。
音や言葉が精査された2枚目以降の方が正直完成度は高いです。しかし衝撃度は本作が1番。ファンク的要素よりもパンク的な攻撃性の方がめだつ作品。
おすすめの曲
「でも・デモ・Demo」ラジオで初めて聴いたのですが、流れてきた瞬間からびびっときました。いきなり「あんた気に食わない」って一言で始まってファンクビートに乗っかってコーラスが「暗いね暗いね、性格が暗いね、暗いね暗いね、日本人で暗いね」。「ああ日本人って暗いな」時々って思うのはこの曲のせいもあるのかも。 とんがったギターソロも相当かっこよく、当時は一番好きなギターソロ。「クニナマシェ」アルバムのラストにして圧巻の一曲。もてる要素を全部釜のなかに放り込んでぐつぐつ煮た様な濃厚なファンクナンバー。「人類ミナ兄弟」「ヤラセロセーロセーロセーロ」 ってコーラスが繰り返される中、江戸アケミが煽動的なボーカルを繰り広げ、そこに子どもの神々しいような不気味なような合唱がはいるというなんともカオスな一大絵巻。
この2曲がやっぱり双璧で、それに比べるとやっぱり他の曲は弱く、前述したように2nd以降の方が曲の粒は揃っています。そういうトータルのバランスで順位が下位になってしまった感じです。
73位 RIP SLYME 『Talkin’ Cheap』1998年
メジャーデビュー前のインディーズアルバム。SUはまたメンバーでは無く客員として参加。
音質は正直良くは無いんですけどそれがかえって味になっているし、彼らの元気の良さとラップの心地よさがあり、メジャーデビュー後の整理された音とは違うある種のマジックがあるアルバム。
全体的に、この頃のリップはモラトリアムというかのんびりした牧歌的な雰囲気がながれていますね。楽しさもあるんだけどメジャー時のパーティーの喧騒みたいな感じもあんまりなく、親近感が持てる。
というか90年代日本語ラップのインディー感のある空気とか雰囲気を自分は好んでます。メジャーなっていったアーティストがどんどん音がよくなってくるんだけど、それにつれて気持ちは離れていってしまうという…。
おすすめの曲
「Cheap Talk」やっぱり上手いしカッコよくないすか? シンプルで印象的なトラックもGood。ハイハットとスネアの音が気持ちいいですね。
「白日」メジャーデビュー後に再録されたはず。名曲。
「Fade Away」うん、これもカッコいい。 メジャーデビュー後のきっちりとしたサウンドプロダクションじゃないけど、それがかえって心地よい。
72位 YMO『テクノデリック』 1981年
様々な音楽ジャンルを取り込んで料理し、前作での実験を更に推し進めつつポップに消化した名作。特に 「体操」と「Gradated Gray」という二大名曲は必聴。サンプラーを本格的に導入したアルバムとしても有名。
おすすめの曲
「体操」(TAISO)どの方向からせめてもカッコいい曲。 八分音符で刻まれるベースドラムは勿論、ベースがめちゃくちゃクールです。ミニマルなピアノもふざけきった歌詞も全てが最高です。YMOで2番目に好きな曲。
「灯」(LIGHT IN DARKNESS)79位で紹介した「Madmen」と合わせて、ベーシストは100回聴くべし。
「灰色の段階」(GRADATED GREY)YMOで一番、いや細野さんのキャリアのなかで一番好きといっても過言ではない曲。スローなテンポのファンクで、色んな曲をこのリズムでカバーすれば結構素晴らしいものが出来上がるのではないかと…。YMO中期の「CUE」にも似た抽象的で示唆的な歌詞も良い。
「京城音楽」(SEOUL MUSIC)タイトルはもちろんSoul Musicと韓国のソウルをかけている。この曲をソウルで聴いたけど思ったより感動は薄かった。けど言いたいことはすごくよくわかりました。余談ですがソウルはモダンと伝統がいい感じに混ざり合ったとても魅力的な都市でしたね。
71位 高田渡・五つの赤い風船『高田渡・五つの赤い風船』 1969年
A面が高田渡のライブでB面が五つの赤い風船のスタジオ盤という変則的なアルバム。しかし、この順位と評価はほぼB面に向けられているとおもってください。五つの赤い風船の、眩しすぎて愚かしく感じられる程の理想主義が、現代日本ではやけに心にしみてくる。
おすすめの曲
「もしもボクの背中に羽根が生えてたら 」音楽的にはギターと歌が基本の全うなフォークソングなんですけど、木琴が間奏部分にテーマの様に入っていて、いいアクセントになっています。
「遠い世界に」音楽の教科書にも載っていて、聴いたことはないが合唱の曲としても愛されている名曲。 こんなの中学生の合唱で聴いたら自分の子供じゃなくても泣くと思います。オートハープという楽器がアコースティックギターのストロークみたいな使われていて、それとフォークソングの組み合わせがなんとも面白い。「もしもボクの~」でも木琴がつかわれていた様に、こういうプラスアルファで違う楽器を持ってきてアクセントを加えるのが上手ですね。オートハープがあるのとないのではこの曲の音楽的な耐久性、飽きにくさって全然ちがうなと思うんですよ。歌詞ですが、背景には学生運動とか政治的なものがあったんでしょうが、そういうものを超えた普遍的な理想主義が描かれててそこがぐっときてしまうんでしょうね。そのような背景をはっきりと描かずに普遍化して、におわせる程度に留めたのも、この曲がスタンダードとして残り続けた所以だと思います。
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対して高田渡のほうはライブ盤。 しかしまだまだタカダワタル的ではないというか、 未完成な感じがありますね。ことばの鋭さとか。
おすすめの曲
「現代的だわね」現代的で無いものを並べて、「現代的だわね」をオチに持っていく、コミックソングみたいな曲。といってもあからさまに笑わせるのを目的にしたものではなく、皮肉が効いている。
「自衛隊に入ろう」自衛隊の意味も色々と変節を遂げ、残念ながら賞味期限が過ぎてしまった曲かと。とはいえ一つ一つのフレーズを当時の時代背景と重ねて解釈してみたり、現在の状況と比べてみると中々面白い曲。高田さんはもちろん皮肉で「自衛隊に入ろう」といっているんですが、当時はコレを聴いて自衛隊に入って人や、実際に防衛庁からオフィシャルソングにという申し出があったとかなかったとか…。
80位から71位のまとめ
YMOが2枚入ってますね。これで87位の『浮気なぼくら』と合わせてすでにYMOは三枚でました。
今回のランキングのルールでは1アーティストにつき、アルバム3枚までですから、これ以上YMOのアルバムはでてこないことになります…。
そう、日本のロックアルバムベスト100で常連の『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』は当ランキングではランクインしていません…。そのいいわけは後ほど別の記事であらためて取り上げたいと思います。
74位の『南蛮渡来』は、こうしたランキングでは入れるなら上位、というアルバムですが、このような下位になってました。
じゃがたらの他のアルバムを入れようとか、色々葛藤はあったんですけど、『南蛮渡来』ははずせない、しかしアルバムのトータルのバランスとして弱い…そういうわけでこの順位になりました。
70位 あがた森魚『乙女の儚夢』1972年
幸子の幸はどこにある?
21世紀でもその強度を保っている名曲「赤色エレジー」収録、バックをムーンライダーズの面々が固めた名作。
このアルバムはできるならレコードで所有しておきたい作品ですね。漫画家で、「小梅」という飴のイメージキャラクター、小梅ちゃんでも知られる、林静一がデザインしたアートワークがとにかく秀逸。
おすすめの曲
「赤色エレジー」代表曲。あがたさんは当時、自分で歌いながら自分で泣いていたらしいですが、過剰な入れ込みや没入こそが個性であり魅力かと。曲のもとになったのは林静一の同名の漫画。これも漫画史に残る一作とされていますので、よければ是非一読を。
「君はハートのクイーンだよ」フィドル(バイオリン)をフィーチャーした、非常に軽やかなビートに乗ったカントリー調のコミカルなラブソング曲。アルバムのなかではひときわ明るい曲で楽しい感じが伝わってくる好演。
「清怨夜曲」本作のラストナンバーにしてハイライト。大正・昭和感のあるタンゴから始まりロックバンドの演奏に変わる実にスリリングな曲。エモーショナルなボーカルと歌詞はタンゴとの相性抜群。
69位 フォーク・クルセダーズ『紀元貮阡年』 1968年
ジャックスの『ジャックスの世界』と並ぶ日本のロック黎明期の名盤。フォークミュージックをベースに、スタジオでの実験精神と類稀なユーモアのセンスが融合した名作。
音数も限られてますし、確かに68年らしい古さはありますが、色彩感覚豊かな白黒映画の様なアルバムですね。その時の持てるだけの技術と趣向を凝らした、音楽性の豊かなアルバムです。
このアルバムに関しては当サイトで詳しく記事を書きましたので、よろしければチェックしてみてください。
68位 岡村靖幸『家庭教師』1990年
えっこれが68位? 順位が低い「どうなっちゃってんだよ」って思う方もいるかと。熱狂的なファンを持つ岡村ちゃんの代表作が本作。しかしこの当時より、今の岡村ちゃんの方が(E)naと思ってしまうんですよね…。それから1990年と2019年の文化経済の隔たりによりあんまりのめりこめないというのもあるかと…。その結果こういう順位になりました。
おすすめの曲
「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」岡村ちゃんにしか作り得ない永遠の青春アンセム。少年ジャンプ的な奇跡を望みながらも現実に打ちのめされて強くなっていく、それでも無謀さと諦めない心はもっていたい僕らのための歌。僕は運動部に属した事は無いんですが、無理矢理応援に駆り出された事は幾度もあって、正直あんまり好きで無いクラスメイトでもコートで頑張っていると応援してました。 で、その時負けてたりすると、やっぱり感情移入してしまうんですよね。なんとか逆転できないかと、そういう時の祈りみたいなのはだからよくわかって、そういうものがここでは見事に表現されているのかと。その祈りと、望み薄な恋愛に於いて英雄的行為で振り向いてもらえたらという祈りを重ねちゃったのが凄いところだと思います。この曲の2番は所変わって、唐突に引越しの場面になるんですね。主人公は住み慣れたこの街から出て行きたくないんですけど、もうパパとママが外で手を振って待っている状況なんです。これももうほとんど覆しようのない事態ですよね、そんな時でもやっぱり祈ってしまうんですよね……。なんとかならないかと。そういう状況を重ねて描いているのも上手いと思います。
「カルアミルク」これも普遍的ななにかを持つ名曲ですよね。岡村ちゃんの楽曲は「大人の」ダーティーさを謳歌しつつも、どこかでで失われてしまった「純粋性」を強く求めるみたいなところがありますよね。これも「今はジュースみたいなもんだけど、昔はカルアミルクですぐに酔ってしまっていた、でもそのころの気持ちで、合って色々素直に話したいよね」っていうことなんですよね。
「どぉなっちゃってんだよ」らしさが爆発した曲。やっぱり、こういうR&B的なリズムアプローチとか過剰なテンションとエレキギターとかプリンスを連想してしまいます。ノリというか軽さとそれに伴う不安とかやっぱりバブリーな雰囲気ある曲。そこはちょっと距離を感じる。
67位 高野寛『hullo hulloa』1988年
デビュー作とは信じられないような完成度と落ち着きを感じる隠れた名盤。88年という時代の空気を確かに感じてはしまうが「暖か」で優しい手触りのそのサウンドはエバーグリーンに響いてきます。
66位 小沢健二『Life』 1994年
ハッピーなバイブスに溢れ、セールスにも恵まれた90年代を代表するポップの名盤。その裏でなんとなく無理して明るく振る舞っている様な不穏さも何処となく感じます。
90年代を代表する一曲「今夜はブギーバック」収録。
おすすめの曲
「愛し愛されて生きるのさ」憎たらしいほど良い曲。アルバムのスタートにぴったり。 前作から続けて聴くと妙に明るくなってて度肝を抜かれます。
「ラブリー」Betty Wright の「Clean Up Woman」 をイントロに持ってきた代表曲。これまたハッピーなバイブス溢れる名曲。
この「Clean Up Woman」 、沢山引用されるサンプリング元ネタ曲としても有名なんですね。Dragon Ash「 I love hip hop」、G. love 「dreamin’」 Chance the Rapper 「favorite song」 、Mary J. Braige and Notorious BIG 「real love」などなど。みんな”Clean Up Woman”!
「ドアをノックするのは誰だ?」タイトルはマーティン・スコセッシの映画の邦題から。6分以上もあるんだけど体感3分ぐらいに聴こえる恐ろしい曲。「LIFE」は9曲しか入っていなくて、曲数はCD時代の割には少ないと感じるんですが、一曲一曲が濃いから全然満足できるんですよね。
65位 オリジナル・ラブ『結晶』1992年
彼らのアルバムの中で、最も完成度の高い作品だと思う一枚。夜のドライブに最適なアルバムでもあります。
コレ以降メンバーが減ったり、Vo.の田島貴男のソロプロジェクトになったりするので。それ故にバンドとして完成度の高い曲が多いと思いますね。
おすすめの曲
「愛のサーキット LOVE CIRCUIT」歪んだギターで始まる「ロックな」イントロにびっくり。そのままロック的に進んでくかと思ったらそうじゃないのは流石。恋の始まりかと思ったら高価な壺を売りつけられそうに…的な歌詞。
「月の裏で会いましょう LET’S GO TO THE DARKSIDE OF THE MOON」ロマンチックソウルバラードとも言うべき、完成度の高いシングル曲。前作の延長線上にある曲だけど更に端正に仕上げてきた感じです。名曲。
「心理学 PSYCHOLOGY」アルバム一曲目。ベースとAメロに当たる部分の語りがカッコいい。ジャズをベースにcoolなものをとにかく詰め込みつつも端正にシンプルにまとめあげた、正にアルバムを象徴する様な名詞がわりの一曲。
「スクランブル SCRAMBLE」初期オリジナルラブらしさ全開と言うか、自分が彼らの中で最も魅力的だと思うのはこういう曲、歌を核とした独自のソウルミュージックです。 そしてそういうバンドとしての一体感を一番感じられるのが本作なのかなと。
「ヴィーナス THE VENUS」これもスキャンダルと双璧をなす極上のオリジナルラブ的ソウルチューン。これ聴きながら夜ドライブすると単純に気持ちいいです。これと「スクランブル」と「月の裏で会いましょう」はキーボードの木原龍太郎さんの作詞ですね。初期オリジナルラブのロマンチックな部分は結構木原さんが担っていた気がします。
64位 ユニコーン『服部』1989年
3曲目までメンバーの演奏が一秒たりとも入っていないどうかしてるアルバム。
ハードロック、レゲエ、フォーク、オケとの共演など内容もバラエティー豊かで5人らしさが開花した名盤。
ジャケットからしてどうかしています笑。売る気は無いのかと小一時間問い詰めたいですね。しかもこのおじいちゃんの名前は服部さんではありません笑。
このアルバムについては一本記事を書きましたので詳細はココからどうぞ。
63位 高中正義『SEYCHELLES』1976年
サディスティック・ミカ・バンドの参加などで知られるギタリストのソロデビューアルバム。
A面はセイシェル諸島への旅という所謂コンセプトアルバムになってます。
このA面が極上のリゾートミュージックになっていまして、夏は絶対に聴きますね。
特に3, 4曲目は超名曲です。
B面もカッコいいです。
本作はすでに2回も当サイトで取り上げられてる常連アルバムですので、説明は割愛。
62位 スピッツ『インディゴ地平線』1996年
一番バンドとしての一体感を感じる一枚。アルバムのジャケットのせいかどことなく全体的には青みがかったようなアルバム。だがそれは青空であり、海の青みであり、インディゴブルーであり、くすんだほの暗い青であり、決して単調ではありません。
このアルバムもすでに詳しく解説していますのでこちらをご参照ください。
61位 小沢健二『犬は吠えるがキャラバンは進む』1993年
何というか、オザケンの中で一番その作家性がスッと出てきた素直な作品なんじゃ無いかと勝手に思ってます。
コアなファンからすると全然違うのかもしれないけど。
僕の中ではオザケン最高傑作です。
うまく言えないですけど、なんか一曲一曲に「使命感」みたいなものを感じるんですよね。曲が存在する意味というか、表象しようとしてるものというか。そういう「使命感」が一番色濃いのが本作『犬キャラ』なのかなと。
『Life』の方がハッピーで聴きやすく、完成度も高いのかもしれないですけれど、それより上位に置いたのはその「使命感」を強く感じたからです。
おすすめの曲
「暗闇から手を伸ばせ」犬キャラでは一番売れそうな曲ですが、自身のセールスでは最低の結果に。シングル「天気読み」でB面曲としてすでに発表済み、アルバム発売後のリカットシングルという2つの要因からでしょう。けれど曲自体は勿論よいです。「everyday everyday everyday」って言えてない箇所がちょくちょくあるのですが、これが計算なのか、能力の限界なのか、気にしてないのか、気付いてないのか、全てあり得そうと思えてしまえる所に小沢健二の恐ろしいところがあるとおもいます。
「カウボーイ疾走」この曲から終わりまでの三曲の流れは本当に凄いです。小沢さんの曲は意外と長めの曲が多いんですけど、いずれも全く長さを感じない。この曲も6分弱あるんだけど3分ぐらいに感じます。
70位から61位まとめ~日本のロックアルバムベスト100常連作品と昨今再評価が進んでいる名盤
69位 フォーク・クルセダーズ『紀元貮阡年』は邦楽ロックアルバムベスト100とかには初期のロック作品としてジャックスの『ジャックスの世界』と並んでランクインしている名作。なにせ1968年の作品ですから最近の作品とどう比較してよいか悩んで、順位づけに苦労しました。本来時代背景も録音の技術とかも全く異なる環境下の作品を並列に並べてランク付けすることがそもそも無茶があるのですが…。基本的に曲そのものの良さや、実験精神の有無、サウンドのオリジナリティ、そして自分がどのくらい聴いているか、好きか、で判断しました。
薬物問題に苦しんだ2000年代の汚名を返上するような2010年代の目覚しい活動で再評価も進んでいますので、68位岡村靖幸『家庭教師』は順位が低いと感じたかも知れません。前述しましたが、現在の活動やルックスのほうが好きなので、どうしても比べてしまってもの足りなさがあるんですよね…。
オザケンのアルバムが2枚ランクインしました。小沢さんも2010年代になり活動が活発になってきて、2019年にはアルバム『So kakkoii 宇宙』も発表。渋谷系再評価のながれもあり、『Life』はやはり90年代を代表する名盤だ、90年代のロンバケだ(大滝詠一『A Long Vacation』)と近年はかなり評価が高く、66位は順位が低いとおもったかもしれないですね。