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夏の名曲

夏にまつわる曲、夏を歌っている曲、沢山ありますね。

ネットにも「夏の名曲選」とか「夏の曲ベスト10」とかいろいろあふれています。

確かに夏のヒット曲がよく集まっているいいセレクションが沢山あるんですけど、けれど、どれも雨の日ソング特集と同じで、自分が夏に好んで聴いているものとまったく違うものばかりが羅列されているんですね。

やっぱり最近のポップが多かったりするわけで。

ということでちょっと時代を遡ったものを含めて、数多くの夏の曲の中から、コレは決定的だ!という夏の曲を選んでみました。

どれも自信をもっておすすめできる究極の夏ソングです。

「サマージャム’95」スチャダラパー

夏の定番ヒップホップソングといえば矢張りこれ。うだるような夏のけだるさみたいなものとヒップホップの相性も良い。

「サマーな男」ユニコーン(1991)

なにも爽やかな夏を歌ったものだけが夏うたではない。実際には日本の夏はじめじめじとじとなわけで、そんなうだるような暑さを表現したのがユニコーンの「サマーな男」。猛暑の中部屋で暑さをこらえながらダラダラしている男。外は工事の音がうるさいけど、工事の人も暑い中頑張ってるからやめろとは言えない…というような内容。

「サマー・ソルジャー」サニーデイ・サービス(1997)

サニーデイは実に季節感を表現することに長けているバンドでこの永遠の夏の名曲も例外ではない。

3枚目のアルバム『愛と笑いの夜』から。基本的にラブソングなんだけど、夏に感じることのできる季節の雄大さというか、広がりみたいなものが感じられる。

フロントマンの曽我部恵一のソロで「サマー・シンフォニー」って言う曲があって、それは多分夏の一夜の心象風景を切り取ったものなんだろうけど、それが人生について言及しているような広がりを感じる。この曲にもそんな広がりがあって、それが夏の雄大さを感じさせてくれる。

「ナツノヒカリ」Grapevine

サニーデイと同じく、Grapevineも季節感を表現するのに長けたバンドで、ニューウェーブっぽい捻くれたポップセンスあふれるイントロからAメロ部分がけだるい夏を十二分に表現している。なぜか爽やかなサビもいい。

「夏なんです」はっぴいえんど(1971)

この曲は定番と言えば定番ですね。

大瀧詠一、細野晴臣、鈴木茂、松本隆、後の日本の音楽シーンを間違えなく引っ張っていったレジェンドたちが集った奇跡的なバンド。この曲は名盤セカンドアルバム『風街ろまん』(1971)から。

いまから50年以上前の曲なんだけど、音自体は全然古さを感じない。ただ描いている世界が昔の日本の田舎の夏の風景になっていて、それが永遠に曲に封じ込められてパックされている。いつ聴いても、いまとは別の時間軸のあの時代のあの夏に連れいかれる名曲。

「SPARKLE」山下達郎(1982)

図らずもクリスマスソングの顔となってしまったが、昔は夏といえばもう、山下達郎だったらしい。

そんなわけで山下達郎の夏に関する曲は多くて選曲にまようが、今回は「SPARKLE」とさせていただきます。明確に歌詞に夏って出てくるわけではないんですけど、イントロのギターのカッティングからすでに爽やかな夏空が演出されていて、そのあとのブラスセクションがブワーって入ってきて、ガーッと空が広がって行く感じが夏全開。オープンカーで海沿いをドライブしながら聴きたい曲。

「海」サザンオールスターズ(1984)

やっぱり海、夏のバンドといったらサザンとチューブが双璧なわけです。

ただここで「真夏の果実」や「チャコの海岸物語」、チューブだと「あー夏休み」を出してしまうと、定番すぎてつまらないので、あえての「海」。

7枚目のアルバム『人気者で行こう』より。

元々はシングル候補曲であり、ジューシィ・フルーツに提供した楽曲でした。

夏の浜辺の夕暮れを思い浮かべるサウンドで、胸をかきむしられるほど非常に切なくなる曲。

「夏の終りのハーモニー」

井上陽水と玉置浩二のデュエットの名曲をレゲエアレンジしたカバーソング。
原作の歌めちゃうま二人による歌唱も勿論いいが、

渡辺貞夫「カリフォルニア・シャワー」(1978)

陽気なリズムにのった楽しい楽曲で、リゾートっぽい ウキウキするような夏の陽気さにいつでも連れて行ってくれるそんな曲。

「じゃっ夏なんで」かせきさいだぁ(1995)

これは今回の企画の中でも1番おすすめしたい一曲。

蝉の鳴き声、花火の音、風鈴などのSEを効果的にふんだんに使用しているので、ちょっと反則ではあるのですが。

夏祭りの1日を切り取った文学的な歌詞は、梶井基次郎の小説や、はっぴぃえんどの詩世界から非常に大きな影響をうけています。

先に紹介した「夏なんです」のアップデート版といってもいい内容で、タイトルは「じゃっ夏なんで」ともっと軽やかになっています。

が、そんなタイトルの軽やかさとは裏腹に非常に濃密な二度とは再現できない1日が、ここでもパックされているのです。

主人公の青年が浴衣姿の恋人と待ち合わせて夏祭りにいくというストーリーが、ラップともポエトリーリーディングとも言える、かせきさいだぁの語りによって進んでいくのですが、主人公の気持ちは直接的にはほとんど表現されていません。

彼の感情を代弁するような描写、または再現不可能な一瞬の出来事の情景だけが淡々と描写されています。

が、それによって我々は主人公の気持ちを想像しながら聴いて、どっぷりとその世界に浸ることを許しているのです。

優れた詩作と心地よいバックトラックによって唯一無二の夏の曲が成り立っています。

「High Pressure」TM Revolution

本格的ブレイクのきっかけにもなったダンスポップナンバー。デジタルビートの妙な爽やかさと軽薄でありながらいやらしさをあまり感じさせなさい歌詞がなんとなく強炭酸!!という感じがする。

「水中メガネ」Chappie (1999)

スピッツの草野マサムネ作曲、松本隆作詞の最強コラボによる曲。今回のセレクションの中では、知名度は低い方かもしれないが、夏の恋愛ソングの名曲。

Chappie(チャッピー)はもともとデザイン集団GROOVISIONSが開発した着せ替えキャラクター。

これはそのチャッピーがボーカルを取って様々な曲を歌うというていで発表された、一連の企画の中の一曲。

一曲ごとに違うアーティストが歌っているのですが、それが誰なのかは公表されていません。

主人公は女性で、水中メガネというアイテムで昔を思い出しています。

水中メガネで記憶に潜ろう

現在の恋愛は倦怠期というか、冷め切っているみたいですね。

あなたの視線に飽きられちゃったね。
去年は裸で泳いでたのに

あなたは無視して漫画にくすくす
わたしは孤独に泳ぎだしそう

そういった現実からはちょっと離れて昔の思い出に水中メガネを通して「潜って」いくのです。

「水中メガネをつけたら私は男の子」という印象的なフレーズが出てきます。

これはどういうことでしょうか。

おそらく水中メガネは主人公が子供の時にしていたものなのでしょう。

まだ男女の違いがはっきりする前の子供の頃の思い出に逃げるということだと思います。それで「私は男の子」っていっているんですね。そこはまだ恋愛の存在しない世界なんです。男女が無邪気に異性と意識せずにすごせた世界が、そこにはあります。歌の最後で、主人公は水中メガネを外します。そこで鏡の中に現れるのは「見知らぬ人女の子」つまり恋愛を知ってしまった現在の自分なんです。

「夏が来て僕等」真島昌利 (1989)

クロマニヨンズ、ハイロウズ、そしてブルーハーツのギタリスト、 真島昌利のソロ作。

本作が収められているアルバム『夏のぬけがら』は夏アルバムとしてもおすすめ。

アコースティックギターやピアノを基調とした爽やかなサウンドで、夏の午後の気だるさのようなゆったりとしたリズムの曲。

風の入ってくる昔ながらの古民家のなかで涼んでいる、そんな爽やかさを想起させる音ですよね。人工的なクーラーの涼しさのような感じではなく。

この曲ももう少し時代の新しい「夏なんです」ですね。少年たちの、一夏を描いています。

ここでもやはり「じゃっ夏なんで」のように描写が羅列されて、少年たちの感情は描かれません。

でもそのときどんな気持ちだったが僕達にはわかるはずです。花火をしたり、自転車で遠くの街までいったり、木に登ったり、アイスクリーム食べたり、誰でも経験しそうな少年のころの出来事がならんでいます。

「僕等」と、子供たちの視点で進んでいきますが、ところどころにハッとするような大人との対比が描かれます。

「僕等」は「終わりなき午後の冒険者」で「夏に疲れるなんて」はなく「高校野球なんてみない」で「夏草にのびた給水塔の影を」みます。

日常に疲弊することなんてなく、何にでも好奇心をもって世界を積極的に捉えようとしている子供たちの姿を、その反対の大人たちと対比して違いを強調する事で鮮やかに描いているんですね。

「ELECTRIC SUMMER」Base Ball Bear (2006)

2000年以降の夏のバンドといえば僕の中では圧倒的にBase Ball Bear。

彼らの楽曲には夏を舞台とした曲や、夏っぽい曲が結構あるのです(「ドラマチック」、「真夏の条件」「BREEEEZE GIRL」など)。そのなかでも一押しなのが、タイトル直球な、「ELECTRIC SUMMER」。4つ打ちダンスビートに乗って疾走感あふれるギターサウンドが展開されます。Base Ball Bearの詩世界の魅力は、フェティシュで、ちょっとバカっぽくて、ロマンチックな表現や、思わずニヤリとするような引用を繰り出してくる引き出しの多さだなとおもいます。

「ELECTRIC SUMMER」でも山下達郎の「高気圧ガール」の引用を、しつつその変態的世界(褒め言葉)を展開しています。

「カナリア諸島にて」大滝詠一(1981)

大瀧詠一の『ロング・バケーション』から、バカンス先のホテルで、ビーチには出ずにあえてプールサイドでビーチパラソルのもと、デッキチェアでトロピカルジュースを飲んでいるような気分になれてしまう恐ろしい曲。この曲が入っている『ロング・バケーション』はランチ2回分ぐらいのお金で、リゾートに旅立ててしまうという、とんでもないアルバムですのでおススメ。

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「Summer Tribe」 Dragon Ash

KJの声のトーンやフロウがあまりにも似すぎているということで、Zeebraとのビーフの原因になった曰く付きの曲。というわけでシングルとして発表され、そこそこヒットしたもののアルバムには収録されず歴史から抹殺された一曲。しかし、エレピをメインに据えたバックトラックが心地よく、うだるような暑さのなかでなんとか爽やかにゴージャスに過ごそうぜ的なバイブスがでていて気持ちいいサマーソング。

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