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『ミュージック・マガジン』「日本のヒップホップ・アルバム・ベスト100」

こんにちは。今回は雑誌『ミュージック・マガジン』の特集、「日本のヒップホップ・アルバム・ベスト100」について書いてみようと思います

これは最新号ではなくて2017年の6月号の特集なんですが、『ミュージック・マガジン』は結構バックナンバーが手に入りやすい雑誌でもあります。

品切れしていなければ10年ぐらい前の号でも入手可能です(詳しくは公式Webサイトをご覧ください)。

一部バックナンバーはAmazonからでも買えますね。

当ブログでも以前、『ミュージック・マガジン』 「邦楽アルバム・ベスト100」という記事で、ミュージック・マガジンの邦楽アルバムベスト100企画を取り上げてました。

『50年のジャズ・アルバム・ベスト100』も特集しました。

という事で昔の雑誌の記事ですがアクセス可能ですので、今回はミュージックマガジンの「日本のヒップホップ・アルバム・ベスト100」について話したいと思います。

ついでに当サイトおすすめの日本のヒップホップ名盤も紹介いたします。

一応前置きとしていっておきますが、まだ購入できる雑誌の内容ですので、詳しい順位表を乗せるのは野暮なので、リストの詳細は述べませんし、一部ぼかすような言い方をします。

あらかじめ了承ください。

日本のヒップホップ・アルバム・ベスト100

まずは矢張りこれが上位に来たかというのがベスト10入りしましたね。

スチャダラパーやキミドリがかなりの上位に食い込むのもミュージック・マガジンらしいと思いました。

ベスト10で一番新しい作品は2014年発表のKOHH『MONOCHROME』でした。

年代別に集計してみたところ、

  • 1980年代 1枚
  • 1990年代 24枚
  • 2000年代 45枚
  • 2010年代 30枚

でした。

80年代は海外でもヒップホップ黎明期でしたのでまぁ一枚は仕方ないかなと思いましたが、こんなに少ないとは意外でしたね。

確かに何をランクインさせるのかといわれたら思いつかないんですけど。

90年代は24枚ともっと多いかと思ったんですが意外です。

やはりクラシックと言われるような定番アルバムが多かったです。

2000年代は多いとは思ってましたがここまでとは予想してませんでした。

そして2010年代が30枚。

本誌が発売されたのが2017なのでかなり多いです。

普通この手のランキングでこんなに近年の作品が入って来ることはありません。

それだけ現在の日本のヒップホップシーンの厚みと盛り上がりが半端ないということでしょうね。

ランキング自体を評価する対談

この企画で面白かったのはCreepy Nutsの2人とDOTAMAの対談でした。

残念ながら彼等の作品はランク外だっだんですけど、評論家が勝手に日本のヒップホップのアルバムに順位をつける事自体に対する怒りや、順位に対する不満点などが赤裸々に語られてまして、結果的にこのランキングのサブテキストとして非常に有効になってると思います。

ランキングの欠点や足りない視点が浮き彫りになってます。

と言う意味では評論家の2人の対談(荘開津広x二木信)もこのランキングを俯瞰するのに最適で面白かったです。

そして日本のヒップホップシーンを牽引続けてきたZEEBRAさんのインタビューも載っています。

おすすめの5枚

というわけでランキングの中から筆者のおススメを5枚紹介します。

Buddha Brand『病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)』

これはやはり日本のヒップホップ史だけでなく僕の個人史としても絶対外せない名盤ですね。

それまでもヒップホップは洋楽中心にちょこちょこ聴いていたんですけど、のめり込む様になったのは完全にこのアルバムのおかげです。

完成度のめちゃくちゃ高いトラックにフリーキーで攻撃的かつユーモラスなライミングは一度聴いたら虜になってしまいます。

キングギドラ『空からの力』

日本のヒップホップに初めて教科書、お手本となりうるマスターピースが誕生したのがこの一枚です。

良くも悪くもこの一枚抜きには日本語ラップは語れません。

RHYMESTER『EGOTOPIA』

日本のヒップホップシーンをコンスタントな活動で牽引してきたという意味で最重要グループだと思います。

宇多丸さんがまだMCシローだった2ndアルバム。

セールスと知名度を獲得する前のくすぶった感情と、ラップへの情熱がまぶしい一枚。トラックもジャズやソウルを土台としたカッコいいものが多く、統一感もあり1番好きですね。

降神『降神』

降神の登場は結構話題になっていたのを覚えています。

本作は現在の所最新作になっていますが、非常に高いクオリティで、コレを超えるアルバムをだすのはなかなか難しそうです。

文学性と攻撃性とユーモアが同居したその独特の世界にうならざるを得ない一枚。

TOKONA-X『トウカイXテイオー』

残念ながら26歳という若さでなくなってしまった伝説のラッパーの唯一のソロアルバム。

名古屋弁でまくしたてるユーモラスかつダーティで攻撃的なラップは唯一無二。

夭折してしまったのが本当に惜しいです。

ランク外だけど、おススメの日本のヒップホップアルバム5枚

今回のランクには入りませんでしたが、筆者がすきな日本のヒップホップアルバムを紹介します。

RIP SLYME『Talkin’ Cheap』

本誌の対談でもこのアルバムが入ってないって言う話がありましたが、メジャーデビューして大ブレイクする前のリップスライムの作品。

彼等特有のラップの楽しさや、トラックの確かさはそのままに、まだメジャーデビュー前の青春性と言いますか青臭い若い輝きが魅力の一枚です。

Kick The Can Crew『Greatest Hits』

こちらもリップスライム同様ランク外であることが対談で取り上げられていたアーティストです。

メガヒットを記録するメジャーデビュー前のインディーズ時代の音源を集めたコンピレーションで、こちらもリップスライム同様、メンバーのスキルとKREVAの秀逸なトラックはそのままに、成功前のヒリヒリとした焦りや上昇への熱にあてられる名曲の数々が楽しめます。

残念ながら現時点で廃盤で、サブスク等のサービスにも音源はありませんので中古屋などで探してみてください。

PUNPEE『MODERN TIMES』

こちらはランクインしてないのもそのはず、本誌発売後に発表されたPUNPEEのファーストフルアルバムです。

本誌では限定盤のミックステープがランクインしてましたので待望のフルアルバムである本作がもしランキングの対象になっていたら上位は間違い無いと思います。

ラッパー、トラックメイカーとして既にシーンの中心に居たPUNPEEが満を持して発表しただけの事はある傑作です。

KID FRESINO『ai qing』

こちらも本誌発売後に発表された一枚の為、当然ランク外です。

しかしこちらもPUNPEE同様、絶対にランクインしたであろう傑作です。

前作よりも更にラップのスキルをあげた上で、生バンドを中心に多彩なゲストを迎えつつも文句のない統一感で聴くものを圧倒する一枚です。

Dragon Ash『LILY OF DA VALLEY』

ドラゴン・アッシュはお茶の間にヒップホップを届けた立役者ですが、残念ながらヒップホップ中心の音作りは本作で終わってしまいます。

しかしこのアルバムに入っている「Deep Impact」のようなハードな曲をヒットチャートの上位に送り込んだ事は事件だし、日本のヒップホップに少なからず影響を与えたと思ってます。

まぁ影響力だと「Grateful days」の入った前作『Viva La Revolution』の方が上なのかも知れないですけど。

まとめ

ということで『ミュージック・マガジン』特有の偏り方をしているランキングではありますが、日本のヒップホップ史の一側面を把握する為のガイドブックとして有益で手ごろな一冊だと思いますので、興味を持たれたかたは是非。

在庫さえあればネットで買えますし、書店を通じても入手可能です(詳しくは公式Webサイトをご覧ください)。

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