20位『Tristeza on Guitar』Baden Powell ブラジル
クラシック的なテクニックとポピュラーミュージックのハーモニーとリズムを奏でた、ブラジルの、ジャズ、ボサノヴァのギタリスト、バーデン・パウエル。
そんな彼が1966年にドイツのレーベルから発表したのがこのアルバムです。
基本的にギターのインストアルバムで、それにパーカッションとか絡んでくるシンプルな建付けのアルバムなんですけれども、物足りなさとかは全然なくて、とにかくギターの表現力に圧倒される1枚ですよね。
サンバのスタンダードからジャズのスタンダード曲のカバーまで色々と入ってるんですけど、明るい曲では多幸感があふれるみずみずしいギタープレイで、暗い曲は本当になんか押しつぶされそうなダークさ、ものすごい寂寥感を感じさせるギターで、もうとにかくギターの表現力が素晴らしいの一言です。
テクニックがよく語られるミュージシャンではあるんですけれども、本当にギターという楽器が持つ表現力の可能性をまざまざと見せつけられているようなそういった一枚です。
19位『Set』Youssou N’Dour セネガル
セネガルのゆかりの音楽に、欧米のポップスの要素を取り入れた音楽性で著名なシンガー、ユッスー・ンドゥールの代表作。
ユッスーはピーター・ゲイブリエルや坂本龍一など、様々な国際的なミュージシャンからボーカリストとしての客演オファーが舞い込んでいるぐらい魅力的なボーカリストでして、とにかくその独特の上質なシルクのような声質と表現力が素晴らしいです。
特にハッピーなバイブスの曲における多幸感あふれる歌声は魅力的で、本作でもそういう場面が何度かあります。
山下達郎にも声がちょっと似てますのでタツローさんのファンの方は是非聴いてみてほしいです。
18位『Ege Bamyasi』Can ドイツ
レディオヘッドを始め、現在のUK、USのアーティストにも多大な影響を及ぼしたドイツのロックバンド、カンの3枚目のスタジオアルバム。
カンは本当に素晴らしいアルバムをたくさんリリースしていましてどれを選ぼうかなって非常に迷ったんですけど、一番聴いているこのアルバムにしました。
カンは本当に素晴らしいプレイヤーの集まりなんですけれども、中でも僕が一番好きなのはドラマーのヤキ・リーベツァイトで、彼のドラムで有名な曲は他のアルバムにもたくさんあるんですけど、全編で彼のドラミングが結構冴え渡っているのが本作『Ege Bamyasi』なんですよね。
ライムスターにサンプリングされた「バイタミン C」 という曲があるんですけれども、本当にすごいドラミングで、ドラム聞いてるだけでも圧倒される曲です。
レディオヘッドに『The King of Limbs』って彼ら流のダンスミュージックアルバムがあるんですけど、そのアルバムなんか結構本作から影響を受けてる感じがします。
レディオヘッドファンにも是非聴いてもらいたい一枚です。
17位『Moon Safari』Air フランス
エレクトロニカ、ロック、ラウンジ・ミュージックをベースとした洗練されたサウンドが特徴なエレクトロ・ポップ・デュオ、エールのデビューアルバム。
このアルバムの売りはタイトル通り月面を探検しているような浮遊感とスペイシーな感じがあるグッドミュージックというところですね。
車の中でもBGMとしても洒落ていますし、じっくり聞きこんでも楽しいハイセンスな一枚だと思います。
16位『Are(A)zione (live)』Area イタリア
確かな演奏テクニックと、ボーカルのデメトリオ・ストラトスのとにかく人間の声が持つ可能性を追求したような歌唱で有名なイタリアのプログレバンドのライブ盤。
プログレッシブ・ロックというジャンルはテクニカルな演奏で有名なジャンルだったりもするんですけど、そのぶんちょっとテクニカル偏重で、曲としては「そんなに面白くないなー」というのも割とあったりするんです。
けれども、彼らはテクニックももちろん、すごいんですけど、音楽的に圧倒されると言うかアレンジもちゃんと優れているんですよね。
イタリアということでちょっと地中海的な風味も楽曲にあったりしてそこら辺も面白いです。
他にもいいアルバムたくさんあるんですけど、やはりそのテクニックと熱量の面で圧倒されるこのライブ盤が一番おすすめですね。
2曲名の中盤以降のファンク的なフレーズとボーカルのデメトリオスの、半分詩の朗読みたいな演劇的な歌に圧倒されます。
15位『Fizheuer Zieheuer』Villalobos ドイツ
チリ出身で、当時の軍事政権の圧政から3歳の頃にドイツに亡命した電子音楽家、リカルド・ヴィラロボスのミニマルテクノの傑作。
これアルバムと言うか一曲だけなんですよね。非常に長い曲ではあるんですけど全然飽きが来ない。
と言うか呪術的なそのサウンドにやられてってずっと聞いていられます。
3歳で亡命ということで殆どドイツの人なんですけれども、親戚がミュージシャンだったりして、チリの音楽の影響も強いみたいです。
途中で亡霊みたいな感じで入ってくるホーンセクションとかが中南米ぽいっていうかチリっぽい感じもしたりするんですよね。
それがまた独特の味わいをもたらしてくれていてとても良いです。
*サブスクなし
14位『Live』Bob Marley & the Wailers ジャマイカ
レゲエを世界に広めた伝説的ミュージシャン、ボブ・マーリーの熱気あふれるライブ盤。
一般的にレゲエっていうのは陽気でノレるみたいなそういうイメージのものが多いと思うんですけど。
ボブ・マーリーはそういうなんかステレオタイプなレゲエの陽気な側面よりは、レゲエという音楽を持つパワーであるのか熱情みたいなものを教えてくれるミュージシャンだと思います。
ボブ・マーリーの代表アルバムは他にも沢山あるんですけれども、その中でもやはりライブらしく演奏の熱気が凄まじい本作が一番好きです。
よく言われてることですけれども中でも「No Woman, No Cry」の演奏はスタジオバージョンを凌駕する感動的な名演ですし、最終曲の「Get Up, Stand Up」もこれ以上はないという熱演になっています。
レゲエ入門としても機能する1枚かと。
13位『Liaisons Dangereuses』Liaisons Dangereuses ドイツ
リエゾン・ダンジェルーズはドイツのエレクトロパンク、エレクトロ・ボディ・ミュージックのバンド。
ドイツのバンドなんですけどバンド名はフランス語だったり、歌詞も一部スペイン語で歌われてたりします。
後のDAFとかのメンバーもいたりして、電気グルーヴの2人も好きで影響を公言しているバンドでもあります。
本作の魅力はシンプルな骨格で反復されるリズムとサウンドの暴力性ですね。
のちのシカゴハウスとかデトロイトテクノにも多大な影響を与えた名盤です。
12位『Comme à la radio』Brigitte Fontaine フランス
前衛的な作風で知られるフランスのシンガーソングライター、ブリジット・フォンテーヌがアメリカのフリー・ジャズ・バンド、アート・アンサンブル・オブ・シカゴと組んで1969年発表したアルバム。
本作の一番の聴きどころはなんといっても表題曲です。
アート・アンサンブル・オブ・シカゴの緊張感のある演奏の上にブリジットの散文詩の朗読みたいなボーカルが重なってくるんですけど、実にスリリングで素晴らしい演奏だと思います。
途中から歌じゃなくて完全に詩の朗読が始まるんですけど、それもまた素晴らしいんですよね。
是非対訳を読みながら味わってもらいたいです。
他の曲でも、非日常的なダークで不思議な世界が展開されてるポップスになりますので、是非ともそういう今までにない感覚を味わいたいという方にお勧めですね。
11位『Wind』Gigi Masin イタリア
イタリアのアンビエント・ミュージックの巨匠ジジ・マシンの1986年発表のファーストアルバム。
近年再評価著しいジャンル、ニュー・エイジの名盤としても名高い本作ですけど、長らくレア盤としてコレクターズアイテムとして高値で取引されていたりしました。
今ではサブスクで簡単に聴くことができます。
分厚いシンセがリズムのかわりになっていまして、それにサックスやつぶやくような歌唱、そして録音状態のせいなのかホワイトノイズが乗っかっていて、非常に神秘できであり、同時に癒し的な要素もあるんですけど、淡々としながらもどこか切実なものを感じさせる楽曲群が堪能できる名盤です。