PR

ロックの名盤ベスト100

昔はロックのアルバムランキングに申し訳程度に他のジャンルのアルバムが入っており、そのエクスキューズとして「ロックスピリッツを感じる」とか、「ロック的な要素がある」とか、「ロックはそもそも雑食だから」とか言われていました。

しかし、ロックが衰退し、ジャンル分けが機能しない、もしくは細分化されすぎている昨今、ロックの名盤ランキングやリストにポピュラーミュージックの全体をカバーするような役割を担わせるのは無理になってきました。

それならばむしろ逆にこれはロックだと「明確に」分類できるものだけに絞って名盤ベスト100リストを作成してみたらどうだろうかというのが本稿の趣旨です。

このことによってロックが持つ(と定義されてきた)雑食性みたいなものが薄れたリストになっているかもしれませんが、それこそが狙いです。

よって、この種のリストでは定番なアルバムが欠けています。

例えば、しばしば「ロックランキング」で一位を取ることも多いザ・ビーチ・ボーイズ『ペットサウンズはこのリストに入れてません。

『ペット・サウンズ』

ロックに分類するよりも、(オーケストラル)ポップの大名盤ととらえる方が、今となっては自然だと思うからです。

「じゃあ、そもそもおまえが考えるロック観ってなに?」という疑問が出てくるかと思いますし、どういう基準で選んでいるのかという疑問もわくと思いますので、以下選盤の細かいルール、指針です。

・ギターを中心としたバンドミュージックを中心に選出しました。よってシンセなどの電子楽器や打ち込みなどの割合が多いものは除外しています。
・60年代や70年代のものはブルースや当時のR&B、50年代のロックンロールを下敷きにしたギター中心のバンドミュージックをロックと定義して、そこにそぐうものを選出しました。
・80年代以降90年代まではそれ以前に確立されたロックから一部の要素を強調したり、そぎ落としたり、技術の進歩による音響的な効果を加えたりしつつも、60年代70年代的なロックのフォルムを一応引き継いでいるものを中心に選びました。
・2000年代以降はロックンロールリヴァイバルが00年代前半に興ったこともあり、懐古趣味的な意匠のバンドが乱立しましたが、一部の火付け役やゲームチェンジャー的な存在以外は基本的に除きました。
フォークシンガーソングライターAORなどは外しました。
ファンクディスコレゲエなどの影響が濃いものも(きりがないというのもあって)落としました。結果としてポストパンクニューウェーブものは殆ど入っていません。
メタルパンクももはや独立したデカいジャンルと言えますが、ロックのサブジャンルとして扱い、本リストに主要なものは加えました。メタル、パンクから派生するジャンルもそれに従いました。
・なるべく主観、自分の好みを排し、客観的なリストにしようと思ったけどそれだと絞り込めないし、自分がやる意味もないので、やめました。でもこれはロックを語るなら歴史的に外せないというものは自分のテイストでなくても入れています。
時系列順に並べてあります。
・英語圏以外のものを入れると流石に100枚に絞れないので、除外しました。
・なるべくオリジナルアルバムにしましたが、ロックを語る上で外せないけど、適当なオリジナルアルバムがない場合など、やむを得ないものに関してはベストアルバムを選出しました。

まあ、以上の選盤の指針についても、本当はリストを眺めて「ああ、こういう基準で選んでるんだな」と思ってほしい所ではありますが、このリストはロック初心者向けにも役立ってほしいというものあって、指針ぐらいは提示しておいた方がいいかと思い、載せてみました。

ちらほら「これはお前の趣味でここまでのアルバムでもないだろう」というのもあるかもしれませんが、おおむねロック入門としても機能するんじゃないですかね。

1『The Great Twenty-Eight』Chuck Berry 1955-1965年 (1982年)

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ロックギターの基礎の基礎を殆ど一人で作り上げてしまったようなチャック・ベリーの偉大な軌跡をとらえたベスト盤。今聴くとラップやパンクに聞こえるものも。デカい音で聴いてください。

2『Elvis Presley』Elvis Presley 1956年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

本当は映画『エルヴィス』を見てくれ、と言いたい気もするが、デビュー作のこれを。

3『Here’s Little Richard』 Little Richard 1957年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

リトル・リチャードとチャック・ベリーが入ってないロックのリストなんて誰が信用する? ほとばしるエナジーにおいては当リストで一、二を争うえげつないパワーにあふれた一枚。

4『Please Please Me』The Beatles 1963年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ドイツでのドサ回りと数年にわたるソングライティングの修行の結果誕生したパワーポップの名盤。可能ならモノラルバージョンを。

5『The Singles Collection』The Kinks 1964 -1970年 (1997年)

Spotifyで聴くAmazonでCDを見てみる。

「You Really Got Me」の一曲だけでも、ロック史に永遠に名を刻んだであろう偉大なロックバンドの全盛期をコンパイルしたシングルコレクション。アークティック・モンキーズブラー、はじめ、彼らがいなかったら、存在しなかったバンド多数。

6『The Bootleg Series Vol. 4: Bob Dylan Live 1966, The “Royal Albert Hall” Concert』Bob Dylan 1966年 (1998年)

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

歴代最高のロックバンドはなにか? それはストーンズでもニルヴァーナもなく、The Bandのメンバーがバックを務めたこのライブのボブ・ディランバンドである。

7『The Velvet Underground and Nico』The Velvet Underground and Nico 1967年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ノイズ、パンク、ドリームポップ、その後のロック史のプロトタイプと呼べる楽曲を多数輩出した一枚。職業作家をしていたルー・リードのソングライティングと、ジョン・ケイルの現代音楽の素養が融合した奇跡的な一枚。

8『The Doors』The Doors 1967年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

悲劇的な死と圧倒的な存在感故、なにかとボーカルのジム・モリソンがクローズアップされがちだか、全員がすぐれた表現者、プレイヤーであることは留意されるべき。

9『Are You Experienced (America/Canada)』The Jimi Hendrix Experience 1967年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ギターミュージックに革命を起こした伝説のギタリストのデビューアルバム。シングルや代表曲を収録したアメリカ、カナダ盤を是非。

10『The Byrds’ Greatest Hits』The Byrds 1967年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

フォークロック、サイケデリックロック、カントリーロック、ドリームポップ……。様々なアメリカのロックミュージックの各ジャンルのプロトタイプを早くも作ってしまったバンドの初期ベスト。ジャングリーなギターが美しく鳴り響く最良のギターロックが詰まった一枚。

11『Music from Big Pink』The Band 1968年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

誰もが刺激的なロックサウンドに陶酔していた時期に、フォーク、カントリー、ブルース、リズム・アンド・ブルース、ロックンロール、ゴスペルを組み合わせたアメリカのルーツミュージックのごった煮の奇妙なロックアルバムを作ってしまった大名盤デビュー作。リンクはあえての50周年リマスター。

12『Let It Bleed』The Rolling Stones 1969年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

優れたR&Bバンドだったストーンズがブルースルーツミュージックを取り入れながら当時の時代の雰囲気を見事に表現した混沌と感動のロックアルバム。

13『Led Zeppelin II』Led Zeppelin 1969年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

カッコいいブルースをパクリまくって巧みな演奏技術と編集センスでロックというフォーマットを完成させてしまったハイテンションな一枚。その編集センスはある意味渋谷系

14『In the Court of the Crimson King』King Crimson 1969年

Apple Musicで聴く、Spotifyにはないんだなこれが。AmazonでCDを見る

壮大さが感じられるアルバムが一番偉いということであれば本作と『狂気』が一番偉いことになる。ハードな一曲目と叙情性に満ちたスケールの大きな表現が堪能できるプログレッシブロックの大名盤。

15『Abbey Road』The Beatles 1969年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ジョージ・ハリソンのソングライティング能力が覚醒し、ジョンとポールに肩を並べたのも一因だが、「もう解散すっから最高傑作作るわ」で、最高傑作ができた奇跡の一枚。後半のメドレーはロックバンドとしてのビートルズの表現力の凄さを十二分に伝えてくれる名演。

16『Everybody Knows This Is Nowhere』Neil Young 1969年

Apple Musicで聴く、Spotifyでは聴けません。AmazonでCDを見る

ニール・ヤングの代表作といえば一般的に『After the gold rush』『Harvest』があげられることが多いが、それはシンガーソングライター的な評価であり、ロックバンドとしてのダイナミズムをもっとも体現したのは、クレイジー・ホースとガッツリ組み合って作ったこの一枚。

17『Live Dead』Grateful Dead 1969年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ヒッピーサイケデリック文化を代表するジャムバンドの代表作。迫力あるインタープレイからサイケデリック、スペースロックサウンド、フィードバックノイズのインスト、レイドバックした歌ものまで実は結構幅広い音楽性に魅了される一枚。

18『Kick Out the Jams』MC5 1969年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

パンクやメタルのプロトタイプ的なバンドはちらほら当時からいたが、その代表格ともいえる存在、MC5のライブ盤。2曲目から聴いてください。

19『Trout Mask Replica』Captain Beefheart 1969年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ブラック企業もびっくりな過酷な集団生活のもと録音されたアヴァンギャルド・ロックの名盤。フリージャズ、ブルースを飲み込んだフリーキーなギターミュージックが展開される一枚。

20『Fire and Water』Free 1970年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

平均年齢20歳そこそこの若いバンドにもかかわらず、ソングライティングも演奏もきっちりしている理想的なブルースロック。Mr. Bigのバンド名はこのアルバムの楽曲から。

21『Cosmo’s Factory』Creedence Clearwater Revival 1970年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

一時期はビートルズより売れていたメガヒットバンド。代表曲は少なめだが、佳曲がぎっしりと詰まった完成度の高い一枚。アメリカのルーツミュージックを程よいこってり感とポップネスで調理し、全く飽きさせない、いい塩梅のバンドミュージックを提示してみせた。

22『Layla and Other Assorted Love Songs』Derek & the Dominos 1970年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

エリック・クラプトンデラニー&ボニーのバックバンドのメンバーを引き抜き、デュアン・オールマンの協力も仰ぎながら作り上げた、ブルース・ロックの大名盤。歌唱はソウルフルでエモい。

23『Fun House』The Stooges 1970年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ストゥージズ時代のイギー・ポップはどれも素晴らしいが、最もえげつないパワーと混沌と猥雑さにあふれるこの一枚を。

24『Paranoid』Black Sabbath 1970年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

メタルを始め昨今のラウドミュージックのプロトタイプ的音源を残した最重要バンド、ブラック・サバス。初期四枚はどれも傑作だが、どれか一枚というなら代表作多数収録の本作を推したい。

25『Who’s Next』The Who 1971年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

従来のダイナミックなバンドサウンドにシンセサイザーを掛け合わせ、スケール感がアップした音像で圧倒させる代表曲「Baba O’Riley」「Won’t Get Fooled Again」を筆頭に名曲名演がぎっしり詰まったThe Whoの最高傑作。

26『Untitled (Led Zeppelin IV)』 Led Zeppelin 1971年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ハードロックの親玉アルバム。ロックのアンセム的名曲「天国への階段」。サンプリングネタとしても鉄板の「When the Levee Breaks」、コテコテなロック名曲「Black Dog」「Rock and Roll」などよくもわるくもやっぱり定番。

27『Fragile』Yes 1971年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

全体的な完成度においては『危機』の方が高いが、プログレッシブロックの手に汗握るインタープレイが堪能できる瞬間はこちらの方がはるかに多い。

28『Pearl』Janis Joplin 1971年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

エイミー・ワインハウスのロックバージョンといえばわかりやすいか。ジャニスの熱唱が堪能できる一作だが、残念ながら遺作になってしまった一枚。バックの演奏もめっちゃ恰好よいです。

29『Exile on Main Street』The Rolling Stones 1972年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ブルース、R&B、ゴスペルなど、アメリカのルーツミュージックを飲み込みつつ、ラフでルーズでありながら、同時に緻密なロックミュージックを展開した濃密な2枚組アルバム。ストーンズにとってのホワイトアルバム的一枚。

30『Made In Japan』Deep Purple 1972年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

生半可なメタルやパンクより、何倍も凶悪なサウンドとテンションが渦巻いている狂気のライブ盤。ハードロックの教科書。

31『Aladdin Sane』David Bowie 1973

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

前作まであったフォーク的な要素を廃し、アルバムの完成度や実験精神は他のアルバムに軍配が上がるかもしれないが、ボウイのアルバムのなかで最もロック的ないかがわしさと暴力性を孕んだ一枚。

32『The Dark Side of the Moon』Pink Floyd 1973年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ゆるゆるとサイケデリックロックやフォークをやっていたバンドが、今までの経験を総動員して作り上げ、人生、時間、金、対立などをテーマにして作り上げた完璧なコンセプトアルバム。ロックミュージックに権威性を与える一つの根拠として君臨する一枚。

33『Great Hits』T-Rex 1973年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ポップで猥雑でグレイトなロックが詰まったベスト盤。「20th Century Boy」のイントロで沸き立つ感情こそがロック。

34『Dixie Chicken』Little Feat 1973年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ニューオリンズジャズやセカンドライン、R&Bなど南部音楽のエッセンスをロックと混ぜ合わせた泥臭くも洗練された音楽性を見せつけたリトル・フィートの名盤3rdアルバム。

35『Live 1975–85』Bruce Springsteen & the E Street Band 1975-1985 (1986年)

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

圧倒的なテンションと物語性でグイグイ聴かせるロックンロールは、70年代ロックの一つの王道となり、本国に限らず日本でも初期の佐野元春尾崎豊浜田省吾等のフォロワーを生んだ。そんな名盤と名高い『明日なき暴走』(Born to Runを紹介すべきだろうが、個人的に全くピンとこなかった……。なぜなら最初にライブバージョンを聴いてしまったから……。ボスの神髄はライブにあり……。ということでこのライブベストを。「The River」のMCはいつ聴いても泣いてしまう。

36『Horses』Patti Smith 1975年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

パンクに早くも詩的な要素を持ち込んだパティ・スミスのデビューアルバム。ヴァン・モリスンが在籍していたバンド、ゼムの「グロリア」の歌詞を変えた一曲目は必聴。

37『Siren』Roxy Music 1975年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

今までやってきたことをよりキャッチーにコンパクトに提示して見せた、中期ロキシーミュージックの集大成的な一枚。過剰な演劇性、キャバレー的な要素をバンドサウンドで拡張したグラムロックの教科書的な一枚。クリス・トーマスのバキッとしたサウンドプロダクションもバッチリはまっている。

38『Down by the Jetty』Dr. Feelgood 1975年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ギターのカッティングサウンドがとにかく気持ちがよいパブロックの金字塔的一枚。初期ルースターズやミッシェル好きは絶対聴くべき。やさぐれたダメリーマンがアフター5でバンドやってるようなメンバーのいでたちやパフォーマンスも面白いので、是非映像も見てほしい。

39『Ramones』Ramones 1976年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

巨大化し始めたロックから無駄をそぎ落としして骨格だけにした、パンクの始祖的一枚。かつ、The Greatest Punkアルバム。発狂した初期ビーチボーイズみたいなポップさも。とにかくデカい音で聴いて、このディストーションサウンドにおぼれてほしい。

40『Hotel California』The Eagles 1976年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

あまりにも売れすぎ、有名すぎて、ピンク・フロイドと並んで、何かと仮想敵にされやすい超大御所バンドの代表作。表題曲はロックの教科書的名曲。三曲目までは偏見なしに聴いてもらいたい。

41『Boston』Boston 1976年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

80年代の産業ロックを予見するような、ロックの泥臭さを排した爽やかなサウンドが特徴的な一枚。捨て曲なし。

42『Rocks』Aerosmith 1976年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

彼らの代表曲も、ロックの歴史に残るような名曲もないが、カッコよくて危なげな雰囲気を放つロックチューンが詰まった代表作。「I Don’t Want to Miss a Thing」のせいで大げさなバラードが特異なロックバンドととらわれがちだが昔はこんなだったんすよ。

43『Rumours』Fleetwood Mac 1977年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

3人の優れたソングライターが自分の私生活を切り売りしたような歌詞で三者三様の世界を描き、ハードな人間関係の中で作成されたメガヒットアルバム。

44『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols』Sex Pistols 1977年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

音楽のみならずファッションなどのカルチャーにも大いに影響を与えたロンドンパンクの代表的存在。パブリックイメージに反して録音物はきっちりと作られており下手でもなんでもなく、諧謔とユーモアにあふれた歌詞とキャッチーな楽曲が楽しめる一枚。

45『Marquee Moon』Television 1977年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

緻密かつダイナミックなバンドアンサンブルが多くのバンドに影響を与え、すでにポストパンクの領域に到達していた感もあるギターロックバンドの伝説的ファースト。

46『Cheap Trick at Budokan』Cheap Trick 1978年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

日本で絶大な人気を誇ったパワーポップバンドの武道館ライブを収録した一枚。ライブならではのテンションの高さと、客の反応もよく、キャッチーで盛り上がれる曲が多数収録された名ライブ盤。

47『Van Halen』Van Halen 1978年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

殆どパロディの域とでもいうぐらい理想的なハードロックをしかもユーモアと余裕たっぷりでやってのけがバンドの伝説のデビュー作。エディ・ヴァンヘイレンのアイデアあふれる衝撃的なギタープレイばかりが注目されがちだが実は全員凄いバンド。

48『Entertainment!』Gang of Four 1979年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

中国の文化大革命を主導した四名の総称をバンド名に取ったポストパンクバンドのデビューアルバム。研ぎ澄まされが鋭利なギターサウンドでダンスミュージックやファンクをパンク的に展開した一枚で、政治的なメッセージと相まって鮮烈な印象を与える名作。

49『London Calling』The Clash 1979年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

前作でトッパー・ヒードンをドラムに迎え、やりたいことが可能になった彼らのクリエイティビティが爆発したクラッシュ最高傑作。パンクをベースにロカビリー、レゲエ、スカ、R&B、ジャズなど様々な要素を取り入れつつも彼ららしさを失っていない稀有な名盤。個人的にはジョー・ストラマーとミック・ジョーンズのボーカルの掛け合いで生じるマジック、ロマンティックでエモーショナルな瞬間がこのバンドの核な気がする。

50『Unknown Pleasures』Joy Division 1979年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

今回のリストの中で最もダークなエナジーを発っしているポストパンクの名盤でゴスロックのプロトタイプともなった一枚。マーティン・ハネットによるサウンドプロダクションによってまるでこの世ではないところで鳴り響いている音楽のように聴こえる。

51『Singles Going Steady』Buzzcocks 1979年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

キャッチーな楽曲と、エモーショナルで繊細な歌詞で、初期アークティック・モンキーズを始め影響大のパンク、ニューウェーブバンド、バズコックス。彼らのアルバム未収録の名曲も入ったシングル曲を集めた編集盤。

52『BBC Radio 1 Live In Concert』XTC 1980年(1992年)

Amazonで見てみる。

タイムマシーンがあったら行ってみたいライブの一つ。英国らしいユーモラスでシニカルな歌詞に、ねじれたポップセンスを有しながらもパンキッシュな攻撃性をはらんだ楽曲群が、凄まじいテンションで演奏されるライブ盤。ちょっと前までサブスクにあったはずだが……。

53『Remain in Light』Talking Heads 1980年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ニューヨーク出身のニューウェーブバンドがアフリカ音楽のエッセンスを取り入れて作り上げた80年代を代表する一枚。シニカルで示唆的な歌詞にも注目。

54『Back in Black』 AC/DC 1980年

Apple Musicで聴く, Spotifyで聴く

オーストラリア出身のロックバンドの代表作。ボン・スコットの死を経てブライアン・ジョンソンをボーカリストに迎えて制作され、全世界で4000万枚も売り上げた。

55『Ace of Spades』 Motörhead 1980年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

スラッシュメタルやスピードメタルのプロトタイプとなった激しくてラフなロックンロール。メタルとロックのカッコいい所だけを取り出して、速さと凶暴性をより純化させたようなサウンドが楽しめる一枚。

56『Greatest Hits』Queen 1981年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

芸達者なメンバーが集まったこともあり、器用貧乏になりがちでオリジナルアルバムでコレというものがなかなかないバンドゆえ(めちゃくちゃ怒られそう…)、らしさあふれる曲だけをパックしたベストアルバムが至高。所謂ロックな楽曲だけを集めたコンピ、『Queen Rocks』も必聴。

57『The Number Of The Beast』Iron Maiden 1982年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

オールタイムベストメタルアルバム上位常連の名盤。ヘヴィメタルの現在のイメージを決定づけたようなところさえすらある一枚。

58『Murmur』R.E.M. 1983

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

アメリカを代表するオルタナティブロックバンド、R.E.M.のデビューアルバム。すでにこの時点でシンプルで完成度の高いギターロックを展開している。

59『Purple Rain』Prince and The Revolution 1984

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

こうしたランキングでながらくしれっと「ロックアーティスト」としてこのアルバムがエントリーされていたプリンスだが、明確にロックに接近し、そのイディオムを利用したアルバムがたまたまこの代表作だった。特に「Let’s go crazy」はロックのクリシェ的表現をふんだんにとり入れた一曲となっている。

60『RecklessBryan Adams 1984年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

全世界で1200万枚以上を売り上げた4枚目。ポップなロックの教科書。捨て曲なし。

61『Tim』The Replacements 1985

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

「バンドミュージックなんてクソだ」とおもった時はリプレイスメンツを聴いて「なんだバンドって最高じゃん」って思いなおす。

62『Master of Puppets』Metallica 1986

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

スラッシュメタルのみならず、メタルオールタイムベストアルバムにもしばしば選出される名盤3rd。「Battery」「Master of Puppets」という二大メタルアンセム収録。

63『The Queen is Dead』The Smiths 1986年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ロックのマッチョイムズを歌詞でもサウンドでもとにかく排しかつ攻撃的でもあるその音楽性(今までにないテーマを扱った文学的な歌詞、きらびやかで複雑で美しいギターサウンド、ダンスミュージックを取り入れたリズム隊)は停滞していた80年代のイギリスのロックのメインストリームにおけるもっとも衝撃的な革命だった。この手のランキングで、イギリス国内の人気投票では常に上位な一枚。

64『Reign In Blood』Slayer 1986年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

スラッシュメタルの大名盤かつ、あらゆるラウドミュージック、エクストリームな音楽の到達点。

65『Appetite for Destruction』Guns N’ Roses 1987年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ひょっとしたらロックバンドのステレオタイプ的な危なさや不良性を体現しつつ、そのイメージのままビッグになった最後のバンドかもしれない。パンクとハードロックを掛け合わせたシンプルな疾走感と複雑性が上手に組み合ったハードロックアルバム。

66『The Joshua Tree』U2 1987年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

アイルランドのニューウェーブバンドが、アメリカのルーツミュージックとメロディを手に入れて80年代の「ロックの王道」を提示して見せた代表作。

67『You’re Living All Over Me』Dinosaur Jr 1987年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

シューゲイズの原型としてマイブラにも参照された一枚。心地よいノイジーなギターサウンドにけだるくもなぜか切なさのある歌、突然の咆哮が絶妙なバランスで自然に配置されたこれぞダイナソーJr.なオリジナリティー全開の初期の名盤。

68『Daydream Nation』Sonic Youth 1988

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

様々なチューニングや機材を使って何ができるか、ギターミュージックの可能性について常に追求し続けきた、80sソニック・ユースの集大成にしてアナログ2枚組の大作。代表曲「ティーンエイジ・ライオット」収録。

69『Disintegration』The Cure 1989年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

バンド初期のダークな世界観、音楽性に立ち返りつつも、ドリームポップ的な美しさも同時にまとった彼らの集大成的な一枚。

70『The Stone Roses』The Stone Roses 1989年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

80年代のイギリスのクラブシーンにあった多幸感とグルーヴを、ジャングリーなギターサウンドと共にバンドで非常に自然で見事に融合してみせ、永遠の輝きを放つ一枚。メンバーのキャラクターもバンドとしての仲の良さも最高で、レーベル契約のごたごたでコンスタントな活動ができなかったのが非常に悔やまれるが、この一枚が存在していることだけでも感謝するべきなのかもしれない。

71『Doolittle』Pixies 1989年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ニルヴァーナレディオヘッドナンバーガールに絶大な影響を与えたっていう事実だけでも今すぐこれを聴く理由としては十分すぎる一枚。ヴァースとコーラスにおける「静と動」っていう表面的な楽曲構造のみならず、要はニルヴァーナの楽曲のひねりとユーモア、レディオヘッドのギターアンサンブル、ナンバーガールのポップさと咆哮、全部このアルバムに詰まってるって事。

72『Nowhere』Ride 1990年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

シューゲイズを発明し、そのまま誰も到達できない高みまでいってしまったのがマイブラなら、シューゲイズを一つのフォーマットとして教科書的にすっきりとした形で理想的に提示してみせたのがライド。本人たちはあっさりと3枚目以降で次の表現へと向かってしまう。実は滅茶苦茶基礎がちゃんとしてるバンド。

73『Nevermind』Nirvana 1991年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

停滞して傍流に押しやられていたロックを再びメインストリームに押し上げ、グランジブームとして社会現象にまでなったバンド、ニルヴァーナの代表作。ひねりの効いた楽曲をハードロック、メタル、ハードコアパンクを混ぜ合わせた攻撃的サウンドで調理し、攻撃的でロック的なダイナミズムにあふれているにも関わらず、ポップで聴きやすい側面も持ち合わせた、理想的なロックミュージック。今ロックの理想とされるのはストーンズやツェッペリンではなく、ニルヴァーナと言っても過言ではない。

74『Loveless』My Bloody Valentine 1991年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ギターミュージック最後の革命。轟音ギターサウンドに陶酔感のある甘いメロディで、ドリーミーでありながら激しさも兼ね備えたシューゲイズの大名盤にして90年代のロックで最も重要な一枚。極端な話これ以降ギターミュージックに真の改革は訪れてないのかもしれない。実はサンプリングを駆使したサンプリングアルバムでもある。

75『Ten』Pearl Jam 1991年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ニルヴァーナと共にグランジブームをけん引したバンドだが、音楽性は割と古典的なロックが参照点になっており、90年代的なハードロックを奏でてみせた一枚。

76『Rage Against the Machine』Rage Against the Machine 1992年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ヘヴィなバンドミュージックをヒップホップを組み合わせたバンドは同時代に何組がいたが、これほど重く、グルーヴィで、政治的で、過激な連中もいなかった。トム・モレロのターンテーブルのスクラッチノイズを模したり、飛び道具的でトリッキーなギターサウンドも強烈な一枚。

77『Generation Terrorists』Manic Street Preachers 1992年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

「30曲入りの2枚組のデビューアルバムを発表し、世界中でナンバーワンにして解散する」とデビュー当時に言い放ったバンドがいた。彼らが残した中途半端なデビュー作がこれだ。正直アルバムの完成度においては今回のリスト中最も低いかもしれない。が、その向こう見ずなロマンティシズムを体現するような楽曲が数曲入っており、永遠の輝きを放っている。その後、目的も果たせずみっともなく活動をつづけたが、だからこそ人々は彼らを愛して英国を代表するバンドになった。

78『Siamese Dream』The Smashing Pumpkins 1993年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

当時グランジブームの一端として扱われていたが、グランジよりはパンク的要素は薄く、90代オルタナティブロックを代表する一枚ととらえらえている名盤。「Cherub Rock」「Today」「Disarm」など必殺の名曲収録。日本でもドラゴン・アッシュをはじめ、影響力大。

79『Rid of Me』PJ Harvey 1993年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

今日まで常にハイクオリティな作品を発表し続けてきたPJ Harveyの原点ともいうべき、名盤セカンドアルバム。研ぎ澄まされたヒリヒリするような音が突き刺さってくる一枚。

80『Crooked Rain, Crooked Rain』Pavement 1994年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

21世紀のバンド像を90年代中頃にすでにPavementが提示してみせていた感が2012年ごろまでただよっていた気がする。

81『(What’s the Story) Morning Glory?』Oasis 1995年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ニルヴァーナと並び、90年代ロックの王道を示したバンドの2作目。ドラマーも交代し、オーケストラやピアノなどの楽器のバリエーションも増やしつつもファーストの勢いそのまま、楽曲の強度も増した理想的なセカンドアルバム。リアムギャラガーのボーカルもこのころは絶好調だった。

82『Pinkerton』Weezer 1996年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

「こいつら絶対モテなさそうだよな」的ビジュアルの前作ジャケットでをいきなり一曲目でぶち壊して見せたことが象徴的なように、一枚目のソングライティング、メロの良さはそのままにとにかく何もかも過剰に、エモーショナルにしてみせた二枚目。

83『Colossal Head』Los Lobos 1996年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ルーツロックやテックス・メックスといった従来の持ち味に加え、ミッチェル・フルームチャド・ブレイクのプロデューサーチームによって実験的な要素が加わったファンキーでアヴァンギャルドなロックアルバム。中心メンバーと先のプロデューサーチームで結成されたラテン・プレイボーイズも必聴。

84『OK Computer』Radiohead 1997年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

前作でギターロックを極めたオックスフォード出身のロックバンドが、トリップ・ホップやテクノ、中近東の音楽など様々な要素をミックスさせ、さらなる飛躍を見せた三作目。以後ロックの枠を超え、アルバム毎にシーンにインパクトと影響を与え続ける唯一無二の存在に。都市生活で疲弊した我々のためのサウンドトラック。

85『Follow the Leader』Korn 1998年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

90年代を代表するニューメタルバンドの大ヒットした代表作。前作までのダークさ、ハードさはそのままにメロディアスな曲も増えて聴きやすさも加えらえた充実作。

86『American Football』American Football 1999年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

エモ、ポスト・ロック、マス・ロック、この3ジャンルの中で絶大な存在感を放つ決定的な一枚。

87『Hybrid Theory』Linkin Park 2000年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ラウドなギターミュージックとヒップホップを掛け合わせたバンドは90年代に沢山いたが、彼らほどシームレスに端正にやってのけたバンドはいなかった。それだけあってデビュー作にもかかわらず大ヒット。

88『The Moon & Antarctica』Modest Mouse 2000年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

XTC、ペイヴメント、ピクシーズなどのひねくれギターロックエッセンスをまとめ上げたインディーロックの親玉みたいな傑作。

89『Is This It』The Strokes 2001年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

21世紀のロックを早くも定義してしまった一枚。ストロークス以降というタームは確実に存在する。

90『Turn On the Bright Lights』Interpol 2002年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

21世紀版にアップデートされて蘇ったジョイ・ディヴィジョンみたいなダークでクールなサウンドで衝撃を与えたインターポールのデビューアルバム。The XXザ・キラーズなど、影響力大。

91『Yankee Hotel Foxtrot』Wilco 2002年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

オルタナ・カントリーアメリカーナフォークロックなど、割とアメリカの伝統的なスタイルに近いロックをやっていた彼らが、ジム・オルークなどとのコラボレーションにより新たな境地に達し、作り上げた00年代インディーロックを代表する傑作。

92『Hail to the Thief』Radiohead 2003年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

電子音楽やジャズを大胆に取り入れて21世紀のポピュラーミュージックに多大な影響をもたらした傑作『Kid A』『Amnesiac』を経て制作された6枚目。以前の様なバンドサウンドに戻ったと噂されたが、『OK Computer』以前が好きなギターロックファンにも、前2作以降のサウンドが好きなファンにもどちらにも中途半端にしかアピールせず全体的に低評価な気がする……。が、とんでもない。ロック的な壮大さ、不穏でダイナミックで暴力的なエナジーを発しているという観点からすると大傑作である。本作を理路整然とさせたのがみんな大好き『In Rainbows』だし、「2+2=5」「There, There」「A Wolf At The Door」この大名曲が収録されているという事実だけでも本作もっと評価されるべきかと。

93『Elephant』The White Stripes 2003年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

メインストリームで再びブルースの香りのするロックを奏でて、ストロークスと共に21世紀のロックをけん引したホワイト・ストライプスの出世作。21世紀のロックアンセム「Seven Nation Army」収録。

94『Funeral』Arcade Fire 2004年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

バロックポップ的な要素を組み込んだロマンティックでエモーショナルなロックで人々の心をつかんだカナダのロックバンドのデビュー作。

95『LCD Soundsystem』LCD Soundsystem 2005年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

電子音楽にパンク的なやさぐれ感や荒々しさをもたらしたダンスパンクの金字塔な2枚組大ボリュームのデビューアルバム。70年代末、80年代前半のダンサブルなポストパンクを集めたコンピ盤的な生まれながらのクラッシック感もある一枚。

96『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』Arctic Monkeys 2006年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

今なお現役で進化を続ける英国を代表するロックバンドの名盤ファースト。イングランド北部の若者たちのナイトライフを描き出したシニカルでザ・ストリーツなどヒップホップの影響も垣間見える言葉数の多い歌詞が、オルタナティブロックやガレージロック、パンクなどを絶妙に混ぜ合わせた斬新なサウンド上で展開され、一世を風靡した。

97『Lonerism』Tame Impala 2012年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

現代によみがえったサイケデリックロックの金字塔。だがケヴィン・パーカーは次作であっさりとロックという枠には収まりきらない傑作を物にしてしまう。

98『Modern Vampires of the City』Vampire Weekend 2013年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

今までのアフリカ音楽から影響を受けたポップミュージック的な路線から、バロックポップやチェンバーポップ的要素とダークなトーン、音響的実験要素を高めて新機軸を打ち出した名盤の名高い三枚目。

99『A Brief Inquiry into Online Relationships』The 1975 2018年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

マンチェスター出身のポップロックバンドが今までの親しみやすいポップさはそのままで、ロック的なイディオムや引用を本格的に取り入れた今まで以上にシリアスな3枚目。何よりもステージやPVではしゃぎまわるフロントマン、マシュー・ヒーリーの立ち振る舞いにリアルタイムなロックヒーロー的な期待もしてしまう。

100『Dragon New Warm Mountain I Believe in You』Big Thief 2022年

Apple Musicで聴くSpotifyで聴く

ブルックリン出身のインディーロックバンドが、それぞれのソロ活動を経て発表した現時点での最新作かつ最高傑作。曲としての強度と実験精神のバランスが非常に巧みな現代のフォークロック。

まとめ(ロックって何?)

どうだったでしょうか。普通まあこういうリストにあとがきってあんまりないんですけど、このまま終わるのもモヤモヤするのでつけてみました。

というのは冒頭で『「明確に」ロックと言えるものを』って書いたんですけど、選んでるうちに「ロックって何?」って気分になってきて、特に2000年代以降のものって全然「明確」ではないなと。

もちろんこれも冒頭に書いた通り、ブルースや当時のR&B、50年代のロックンロールを下敷きにしたギター中心のバンドミュージックっていう定義がないわけではないんですけど、それも70年代後半のパンク以降ブルースも、ロックンロールも、R&Bっぽさもなくなるか希薄になっていわばテクスチャーだけが残って、構造的にはむしろファンクやディスコ的だったり、ポップさが露わになったりするわけで。

80年代にはそのテクスチャーさえも当初のロック的ではないものに、要はより激しい歪みで、メタリックになったり(メタル、ハードコア)、より音響効果、音の響きが重視されたり(ニューウェーブ)。

90年代にはその揺れ戻しがあったり……。

要は何が言いたいかっていうと、当たり前なんですけどもうロック観なんて人それぞれなんですよ。

だから僕には見えます。ロックに詳しい皆さんがこのリストに怒り狂っている姿が……。

特に2000年代以降の「ロック」を嗜んできた方にとっては21世紀のアルバムが少なすぎるので、耐えがたいリストだとおもうんですよね。

ザ・キラーズコールドプレイがはいってねーじゃねーか的な。

21世紀以降、ジャンル分けが細分化されてきたり、ミックスされてることが前提とされてきていたりするので、正直ジャンル分けが機能しなかったり、ロックの定義も大分ややこしいことになっているかと思うんです。

それに2000年以降はバンドミュージックというよりは打ち込みや、ラップ、ポップ、R&Bやシンガーソングライターが面白い時代になっていて、バンドミュージックじゃなくて、個人やチーム、コラボレーションで構築される音楽のほうが刺激的ではないでしょうか。

そもそも技術の発展によって楽器がなくても機械で良い音を出せたりもするし、そうなってくるとバンドっていう物理的、経済的、人員的な制約が多く、小回りが利かない運営形態って段々選ばれなくなってきてるのかなというのもあります。

これらの事情から、21世紀以降は自ずとバンドミュージックからの選出はすくなくなっても仕方がないし、バンド形態のアーティストも、音楽性がすぐれている連中に限って、沢山の音楽性を内包しているものが多く、一概にロックと言えないものばかりだったりするんですよね。

最初はVampire Weekendとか、LCDサウンドシステムも入れるつもりはありませんでしたし、The XXアニマル・コレクティブといった超重要バンドもロックよりも他のジャンルのほうが近いのではとおもったので外しました。

とはいえ、21世紀のものに限らず、ただ単に忘れていてリストにのってないものもあると思うし、やっぱりこれを入れろというのも沢山あるのと思うので、ロック好きな皆さんは是非自分のチョイス100などをやってみてほしいと思います。

☝本稿のいうところのロック以外のジャンルのものも取り込んだ「ロック名盤ベスト100」。『教養としての名盤ベスト100』にするには不十分な内容なのでロックと言わざるを得ないところはあるのかと。とはいえ本稿と比べてみると面白いとは思います。

タイトルとURLをコピーしました