ジャキジャキ、シャキシャキ、パキパキ。
皆さん、ギターのカッティングはお好きですか。
今回はギターのカッティングがかっこいい曲を10曲選んで見ました。
ギタリストはもちろん、ギターの事をよく知らない方でもそのカッコよさは伝わるはず!
定番から隠れた名曲まで、選び抜いた10曲をどうぞご堪能下さい。
そもそもカッティングとは何か?
リズミカルで、クリアな音質のリズム重視のギタープレイ、アタック音やリズムを強調したようなプレイ全般をさす傾向にあるようです。
単音よりもコード感のある複数の音を鳴らしたものが多い傾向にあります。
わざと音をミュートさせて音程をなくし、アタック音だけを強調したりするのもあります。
それはブラッシングという奏法です。
カッティングは何となく英語っぽいですが、実は和製英語なんですね。
カッティングに対応する英語はじつは存在せず、日本のギタリストが「カッティング」で思い浮かべるようなものを英語で検索しようとするとなかなか苦労します。
ギターをかき鳴らすというような意味のStruming、またはFunk GuitarやRhythm Guitarで探すのがいいのではないでしょうか。
言葉で説明するよりも実際に聴いてもらったほうがわかりやすいでしょうから、早速曲の紹介いきましょう。
1. アベフトシも影響を受けたカッティングギタリスト
- ドクター・フィールグッド「シー・ダズ・イット・ライト」Dr. Feelgood ”She Does It Right”
- ギタリスト:ウィルコ・ジョンソン (Wilko Johnson)
カッティングギターといったら真っ先に思い浮かぶギタリストが彼ですよね。
惜しくも亡くなってしまったミッシェル・ガン・エレファントのギタリスト、アベ・フトシが最も影響を受けたギタリストの一人がウィルコ・ジョンソンです。
キレ味抜群のカッティングは一度味わったら病み付き間違いなしです。
なんとウィルコは通常ギターを弾く時に使うピックは持たずに手だけでギターをかき鳴らします。
ステージアクションもクールです。バッキングに徹するときはステージ上を前後にベーシストと交互に動くアクションをして、ソロになると縦横無尽に動き回ります。
ウィルコが在籍していたバンド、ドクター・フィールグッドの名盤ファーストアルバム『ダウン・バイ・ザ・ジェティー』(Down by the Jetty 1975年発表)は、そんなウィルコのカッティングギターが存分に楽しめる名盤。
今回そのなかでも特におすすめしたいのが、アルバム1曲目の「シー・ダズ・イット・ライト」 ”She Does It Right” 。
ウィルコの切れ味のよいカッティングギターが全編で楽しめる名曲です。
本作が気に入った方はライブ盤の『殺人病棟』(Stupidity 1976年発表)もおすすめです!
2. おしゃれなカッティングギター名盤からの一曲
- ヘアカット100「好き好きシャーツ」Haircut 100 “Favourite Shirts (Boy Meets Girl)”
- ギタリスト:ニック・ヘイワード (Nick Heyward)、グラハム・ジョーンズ (Graham Jones)
ヘアカット100はギターボーカルのニック・ヘイワードを中心とし、80年代前半に活動したイギリスのポップバンド。
そのバンド名はオザケンとコーネリアスがやっていたバンド、Flipper’s Guitarの曲の名前の元ネタにもなりました。
今回紹介する「好き好きシャーツ」 “Favourite Shirts (Boy Meets Girl)”は彼らのデビューシングル曲にていきなりのヒット曲。
一曲を通してまさにカッティングの嵐とでもいえるぐらいずっとカッティングギターが楽しめて、相当おすすめ。
そんな彼らのデビューアルバム、『ペリカン・ウエスト』(Pelican West 1982年発表)もポップな曲がカッティングギターで彩られているので、リズムギター好きには欠かせない一枚といっていいでしょう。
先ほど紹介した「好き好きシャーツ」を始め「海洋少年」「レモン消防隊」など、邦題が結構面白いタイトルの曲が多いのでそれも注目です。
あとフリッパーズ・ギターが相当影響受けているだけあってお洒落です(笑)。
ギタリストの方は聴いて弾きながらカッティングの練習すると楽しいかも。
3. ヒップホップのサンプリングにも、引っ張りだこなカッティングギター
- シック「グッド・タイムズ」Chic ”Good times”
- ギタリスト:ナイル・ロジャース (Nile Rodgers)
カッティングギターの特集でナイル・ロジャースを紹介しないわけにきません。
Hip Hopで最もサンプリングされるギタリストの一人といっても過言ではないでしょう。
彼が在籍していたシックというディスコバンドは最盛期が70年代後半でしたが、いまだに引用され続けています。
また近年では、ナイル・ロジャースはフランスのエレクトロ・デュオ、ダフト・パンク(Daft Punk)の曲「ゲット・ラッキー」”Get Lucky”に客演して話題になりました。
実はこの曲、シュガーヒル・ギャング (The Sugarhill Gang) のラッパーズ・ディライト (”Rapper’s Delight” 1979年発表) というHip hop好きなら絶対に避けて通れないラップ最初期の歴史的名曲で丸パクリサンプリングされています。
ナイル・ロジャースの極上のリズムギターとラップが融合した最強のHip Hopアンセムの一つです。
4. 鋭利なギターサウンドといえばコレ!
- ギャング・オブ・フォー「ナチュラル・イズ・ノット・イン・イット」Gang of Four ”Natural’s Not in It”
- ギタリスト:アンディ・ギル (Andy Gill)
カッティングギターを語るうえで絶対に外せないアルバムが一枚あります。
全編ジャキジャキした鋭利なギターサウンドに包まれたギャング・オブ・フォーの名盤1st、『エンターテイメント!』(Entertainment! 1979年発表) です。
そんなアルバムからどれか一曲だけ選ぶのは至難の業ですが今回は「ナチュラル・イズ・ノット・イン・イット」”Natural’s Not in It”をセレクト。
アンディ・ギルの金属的で鋭利なギターを全面的にフィーチャーし、現代の消費社会を辛辣に風刺する彼らの代表曲です。
映画『マリー・アントワネット』でも効果的に使われました。
5. 超人気バンドのファンキーな一曲
- レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「サブウェイ・トゥー・ヴィーナス」Red Hot Chili Peppers “Subway To Venus”
- ギタリスト:ジョン・フルシアンテ (John Frusciante)
レッチリはギタリストの交代劇が何度かあったバンドですが、歴代のギタリストの中で最も人気が高いギタリストがジョン・フルシアンテ (John Frusciante)ではないでしょうか。
彼の在籍していた時期がレッチリが最高の状態だったときだと断言するファンも多いかと思います。
フルシアンテいまでは実験的なソロ作品で知られるギタリストですが、レッチリ加入当初はバンドの初代ギタリスト、ヒレル・スロヴァク(Hillel Slovak)の影響を多分に受けたギタースタイルでした。
フルシアンテが加入して始めて出されたレッチリのアルバム『母乳』(Mother’s Milk 1989年発表)ではファンキーなギターにメタルの要素を融合したようなプレイスタイルが楽しめます。
個人的には、完成度よりテンション重視のこの頃のレッチリが1番好きです。
今回はその『母乳』から「サブウェイ・トゥー・ヴィーナス」“Subway To Venus”をピックアップ。
イントロのファンキーなギターリフで一発で持っていかれますが、全編ジョンのファンキーでヘヴィーなギターサウンドが楽しめる興奮間違いなしの名曲です。
6. ファンクギターの元祖、超重要曲
- ジェイムス・ブラウン「パパズ・ガット・ア・ブラン・ニュー・バッグ」James Brown “Papa’s Got A Brand New Bag”
- ギタリスト:ジミー・ノーラン (Jimmy Nolen)
ファンクの始祖にして今日の音楽に多大な影響を及ぼし続けてきた重要なアーティスト、ジェームス・ブラウン。
彼がバンドの全てをコントロールしてきたことは様々な場所で語られているため、どこまでがジェームス・ブラウンの指示下にあったかは謎ですが、この曲こそファンクという音楽ジャンルの最初の1曲の1つであり、この曲のジミー・ノーランのギタープレイがファンクギターのプロトタイプであることは間違いありません。
キメの直前に部分に入るギターのカッティングが非常にカッコいいです。
ライブだとテンポが上がるため、この部分のカッティングが更に高速化します(笑)。
7. 21世紀を代表するギタリストのファンキーなカバー曲
- ジョン・メイヤー「ウェイト・アンティル・トゥモロー」John Mayer “Wait Until Tomorrow”
- ギタリスト:ジョン・メイヤー (John Mayer)
イントロの怒涛のカッティングにしびれます。
原曲は伝説的なギタリスト、ジミ・ヘンドリックス。オリジナルを更に発展させてスリリングな楽曲に仕立てています。
ジョン・メイヤーは当初ギタリストと言うよりはシンガーソングライターとして認知されていました。
しかしもともとギタリスト志望で徐々に自らのギターの腕前を披露していき、今では21世紀を代表するギタリストの一人です。
このカバーはそんなジョン・メイヤーのギタリストとしての才覚が存分に発揮されたライブアルバム『ホエア・ザ・ライト・イズ』(Where the Light Is: John Mayer Live in Los Angeles 2008年発表) 収録。
このライブはいくつかのパートに分かれており、この曲はトリオ編成でのプレイ。
ベースはピノ・パラディーノ (Pino Palladino)、ドラムはスティーブ・ジョーダン (Steve Jordan)。
凄腕のリズム隊ですので、当然ギターだけでなく全てのパートがカッコいいです。
全員が楽しそうに演奏するので思わずニヤついてしまいますね。
最低3回は聴いて各パート毎に楽しみたい名曲の名演です。
8. 凶悪かつクールなカッティング曲
- ジェイムス・チャンス&コントーションズ「ディッシュ・イット・アウト」James Chance & The Contortions “Dish It Out”
- ギタリスト:ジョディ・ハリス (Jody Harris)
筆者が知る限りにおいて最も凶悪でクールな一曲。
冒頭からカミソリのような鋭利なギターサウンドと野太いベースが炸裂し、そこにサックスが吹き荒れながら絡むという緊張感の高いイントロで幕を開けます。
その後ほとんど咆哮のようなボーカルとキーボードが絡んで演奏はどんどんエスカレートしていくというとんでもない曲。
もはやギターのカッティングというか全部カッコいい曲なんですが…。
アンビエントミュージックの創始者であり、U2などのプロデュースで知られるブライアン・イーノ (Brian Eno) が企画したコンピレーションアルバム『ノー・ニュー・ヨーク』(No New York 1978年発表) の冒頭の一曲。
9. ギターのカッティングリフといえばこれという大定番曲
- ザ・ドゥービー・ブラザーズ 「ロング・トレイン・ランニン」The Doobie Brothers ‘Long Train Runnin’’
- ギタリスト:トム・ジョンストン (Tom Johnston)
列車の走行音を模したような、超気持ちいいギターカッティングリフで始まる、ハーモニーとリズムの絡みが絶妙な名曲。
カッティングギターリフといえばこの曲、というような定番の曲です。
カッティング練習曲としても重宝するかと思います。
ちなみに筆者はギターの鳴りを試すときや、腕慣らしをしたいときに、このフレーズを弾いてしまいます。
ドゥービー・ブラザーズは1971年デビューのアメリカのロックバンド。
初期はトム・ジョンストンを中心としたウエスト・コースト・サウンドと呼ばれるアメリカ西海岸文化に根ざしたロックを展開しました。
10. 最後はこの大物バンドのこの曲…
- ビートルズ「オール・マイ・ラヴィング」The Beatles “All My Loving”
- ギタリスト:ジョン・レノン (John Lennon)
最後はビートルズのこの曲にしめていただきましょう。
1963年発表の2ndアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』(With the Beatles) 収録曲。
彼らが当時最強アイドルバンドだったことを証明するような、ポール・マッカートニー作の完璧なラブソング。
これは女の子たちは夢中になってしまうはずです。
そんな素晴らしい歌メロの陰に隠れてしまいそうですが、よくよく聴いてみるとこの曲もAメロ部分のギターの高速カッティングが相当クールです。
リッケンバッカー・325による三連符で掻き鳴らすキモチいいカッティングはジョン・レノンの演奏。
まとめ
いかがだったでしょうか。
なるべく多くのジャンルからギターのカッティングがかっこいい曲を選んでみました。
残念ながら選から漏れてしまったクールなカッティングソングも沢山あります。
ボストンの「ピース・オブ・マインド」とか…。
お気に入りのカッティングソングはありましたでしょうか。
ギタリストの人は是非、カッティングの練習メニューに今回紹介した曲を入れて欲しいですね。
実際僕もギターをやっていたんですが、これらの曲を練習メニューに入れて楽しくカッティングの練習をしてました。
カッティングの名曲を引き倒したいという方にはこんなスコアもあります。
あとはこれとかですかね。
自分はギター仲間からいつも「お前は手首が硬い」「お前のカッティングはぎこちなくて気持ち悪い」とか、いま思い返してみると激怒してもいいくらいひどいこといわれていました(笑)。
けれどカッティングをフォームからとらえ直して、ピッキングや腕の角度、手首の力の抜け具合など、実際の体の動きによってどれだけ音が変化するかなどいろいろ変えてみたら結構改善しましたね。
ちょっとした工夫で大分改善されたので、カッティングが上手くできない、上達したいって方は、フォームから見直してみるといいと思います。